はじめに
国立競技場に行ってきた。
関係者でもなんでもなく普通にチケットを買って行ってきた。国立で試合を見るのは初めてだなーと思っていたが、ウルグアイ戦を観に行ったことを途中で思い出した。バルベルデとディエゴ・オリベラとウガルテが凄かったと記憶している。
国立競技場の周りは特に何があるわけではないのだけど、何だか神妙な気持ちにさせる。パワースポットかなんなのか。あの辺りに住んでいたら、国立競技場の外周をずっと走っていそうな気がする。
そして、ボリビア戦。現地観戦したので見直しはなしでの更新となる。仕事で行う場合は見直しをするのだけど、今日は現地観戦の記憶をたどりに書いてみるのだ。自分のブログではそのような実験も許されるに違いない。もちろん、メモなどない。
というわけで、事実と異なることがあっても許してね、という言い訳を枕に始めていきますわ。
電光石火のゴールの裏で
日本の先制点は電光石火であった。久保くんが左足に切り返すかなと眺めていたが、右足でのクロスを選択。クロスのタイミングもばっちりで、鎌田が胸トラップからの左足ボレーであっさりと日本が先制する。今日も日本が楽勝なのか!!!と会場の雰囲気も和やかになっていった。
ボリビアの配置を見ると、プレッシングは【4231】、ボール保持では【442】のようだった。ガーナ戦とは異なり、配置がかみ合わない状況となる。親善試合で相手の配置が同じだと、実験で得られる情報が減ってしまう。そんな意味でも個人的にはボリビアの配置は歓迎モードであった。
お馴染みになっているボール保持では【325】、ボール非保持では【523】の姿勢を崩さない日本。配置はかみ合わないけれど、日本のハイプレッシングの雰囲気に対して、ボリビアはサイドを空中戦の的とする形で試合を進めていく。
ガーナ戦と比べると、相手のロングボールに苦しむ場面が多く見られた。セメンヨを完封した谷口も、ボリビアのCFには少し苦戦気味であった。餅は餅屋なのだろう。あと、南米の選手はシンプルなデュエルがやはり強い、というか、簡単に屈しない傾向にある気がする。
日本のボール保持に対してはハイプレッシングを見せるボリビア。諸刃の剣の佐野海舟がいなくても、日本のビルドアップはミスが目立つ形となった。人の問題もあれば、相手の対策が良いこともあるし、個々のケースをケース・バイ・ケースで見ていく必要がある。
配置がかみあっていると、誰が自分を守備の基準点としているかがわかりやすい。だから、注意すべき相手がわかる。配置がかみあっていないと、誰が寄せてくるかはわからない。誰も寄せてこないことだってある。この差が地味に大事になってくる。ボリビアはこの差をさっとスライドで埋めることに成功していた。
日本のビルドアップは、まれにサリーって感じだった。ボリビアのプレッシングが同数でハイプレって感じではなかったことから、日本は3バックのままでプレーする時間が多かった。ガーナ戦と同じように、日本は左に谷口がずれる関係で、左センターバックの瀬古が余る傾向にある。
そんな瀬古を起点に日本は攻撃を構築していきたい。しかし、瀬古は周りに時間とスペースを配るのが苦手。でも、大技は得意という尖った能力を持っている。地上戦ではパスをしても状況が良くならないことが多かったけれど、前田大然を走らせたり、不意をついたサイドチェンジでチャンスの起点となったりと、評価を困らせるプレーをしていた。
時間の経過とともに、試合の主導権はだんだんとボリビアへ。日本は【523】のままでどのように守備の基準点を設定するかで悩んでいるようだった。ボリビアはボールを触りたがるセントラルハーフコンビの立ち位置が非常に厄介だった。また、両ウイングともにボールを持ったときのストレスがまるでなく、ボールを循環させることもできるので、日本はファウルなしでボールを奪い切ることがなかなかできなかった。
日本の配置の特徴としては、南野が前に出て、小川と2トップのようになる。前田を前に出して久保とサイドハーフのようになる。これまでの試合で見せたように【442】のプレッシングの雰囲気を醸し出していく。右ウイングバックが菅原だったこともあって、予め予定されいていた変更にも見えた。
しかし、前田大然の立ち位置を見ていると、ウイングバックとして振る舞う場面が多かった。さらに、南野も前から追いかけたいけれど、本当に行って良いのか?という悩みを抱えているようにも見えた。【442】っぽいけど、どうやら予め予定されいていたものではなく、ピッチに合わせた対応だったのだろう。ただし、悩みながらというおまけつき。
その悩みが隙をつくり、相手に時間とスペースを与える。さらに、相手が妙に一対一に強く、ボールを保持することに長けていたとなると、日本が苦戦は言い過ぎだけれど、少し嫌な雰囲気で試合を進めることになるのは当然だった。特にボリビアの11番はそのタイミングで仕掛けるのかい!という巧妙さも兼ね備えていて、遠藤を華麗にかわし菅原にイエローを叩きつけることに成功している。
一方でボリビアもボリビアで、なかなかゴールに迫れない状況に苦しんでいた。日本のトランジションの速さというよりは、前田大然のボール刈りに苦しみ、日本から容易にボールを奪えかえせない、奪い返しても奪われる状況にファウルで対抗し、試合は何度も止まることとなった。でも、前半にロスタイムはなかったけれど。
最終的に、日本は小川が背中で相手の中盤を消し、久保と南野が突撃で配置をかみあわせようとする。ただし、前田と菅原が相手のサイドバックまで連動する場面はあまりなかった。前田のほうがよくできていたけれど、菅原は堂安の言うように少し後ろに重ためになったことはサイドバックを本職とするからか、イエローをもらったからかは本人にしかわからない。
配置をかみあわせるボリビア
配置のかみあわせさを利用していたボリビアだが、後半の頭から【523】に変更する。6番がそのままセンターバックに入り、15番のトップ下がセントラルハーフに移動していた。
日本のビルドアップに対して同数で迫る作戦である。同数で迫るなんて!となりがちだが、この作戦の肝は日本の攻撃方法にあった。
日本は久保や南野が列を降りて中盤のサポートをする形をこよなく好んでいる。この試合でもディフェンスラインに降りるサリーはほどほどだったが、南野たちが列を降りる形は何度も行われてた。
そのために孤立するのが小川である。孤立した状態でもポストマンをこなせる上田とは異なり、小川はポストマンでも裏抜けでも孤立した状態では相手の脅威を与えられていなかった。ただ、この状況で相手の脅威を与えられそうな選手はほとんどいないので、小川がだめ!という話にはならないのだけど。
なので、セントラルハーフの6番でもいざとなったらマークを受け渡せば小川対応はどうにかなるし、南野たちの監視を強めたほうが良いよねというボリビアの戦術的な変化は日本にのしかかることになった。
さらに、右ウイングで注目の7番は、派手な11番に隠れて目立たなかった前半戦とはうってかわり、後半は中央に移動してフリーマン仕事で一気に目立つこととなった。大外レーンに固定される選手ではなく、ハーフスペースの住人のようである。
日本の配置にはかみあせて、自分たちはかみあわせない作戦を披露するボリビアに苦労が続く日本。それでも淡々と守っていくからすごい。まるで横綱。
そんな日本の状況を変えたのはお得意の選手交代。一気に前線を3枚替え。つまり、ウイイレ交代。登場したのは中村敬斗、町野修斗、上田綺世。上田綺世がいきなりの空中戦や肉弾戦で存在感を示したのは面白かった。
中村敬斗が登場しても、前田大然がウイングバックだったので、前田大然は本当にウイングバックとして考えられているのかと驚いた。でも、中村敬斗は前線のほうがハマりが良いのは間違いない。三笘も中村敬斗も前線で計算すると、今までのウイングバックの起用はなんだったのか?となりそうな気配。でも、本番でやるかもね。
前線の交代で一気にペースチェンジは森保監督のお家芸。後半の頭から登場した堂安も含めて一気に能動的に試合を動かしまっせで意思統一された日本はボリビアからボールを奪い、ボリビアのゴールに迫っていった。問題解決の答えが速さなのは森保監督らしい。
そして町野、中村と交代選手が得点を決めて試合は終了する。こうして100試合目も無事に勝利した森保監督であった。
ひとりごと
最近の日本の強豪感は異常。今までは強豪感よりも真面目感が勝っていた。試合の勝ち方にもこだわりがあるというか、親善試合でも全力全開でがんばるというか。サボらないトランジション、サボらないハイプレッシング、交代で出てきた選手も全力で頑張るみたいな。
今の日本は、その真面目感が少しなくなり、大人感が出てきている。ガーナ戦でもボリビア戦でも無理矢理に主導権を握るようなコストを払うことなく、淡々と試合に勝つための最適解というか、これで大丈夫だよねと実行するというか。
また、ずっと叫んでいるが、ウイングバック問題はどうするのだろうと、ワントップ孤立問題をどうするかはどこかで問題になりそうだなと。

コメント