「さて、今日は名古屋対鹿島を振り返ってく」
「本当はチェルシー対アーセナルの予定だったんだけど」
「ザーゴ時代に鹿島を何度も見ることがあったので、相馬監督になってどのような変節を遂げているのかが気になってな」
「また、川崎後の名古屋も気になっているからな」
「では、試合に話を移していく」
「最初に目をついたのが小泉の起用法だった。鹿島ではサイドバックで起用されることの多かった小泉だが、もともとはボールハンターとしてセントラルハーフを本職としていた、、、はず」
「その選手をトップ下で起用するという奇策である」
「この起用法はゼロトップトッティの下におけるトップ下はペロッタ!のオマージュのような采配になっている」
「ペロッタのタスクは走って死んで」
「トッティが下がってくるから代わりに前線に飛び出しまくるペロッタ」
「守備でも奔走」
「小泉も似たようなものだったな」
「影分身を使っているかのようだった」
「ときどき影分身を使う選手が出てくるけど、次のシーズンは過労でぶっ倒れることが多い」
「そのあたりもどうなっていくかは注目ということで」
「ザーゴ時代と比べると、この小泉の支配領域がえぐつなく広い」
「相手のセンターバックまで追いかけていたと思いきや、セントラルハーフにもプレスバックを延々と繰り返していく。特に視野外から突然に小泉が現れるからボール保持者からすると、悪夢だな」
「また、鹿島の流動的なアタックでサイドハーフやセントラルハーフが持ち場に戻れないときにその位置を埋める」
「さらに埋めるだけでなく本職の選手よりも守れてしまう」
「本職がボールハントだから言うまでもないな」
「ボール保持でも周りの選手の位置に応じて、バランスを取ることもできるのはセントラルハーフの経験からだろうな」
「というわけで、前線からのプレッシングの圧力を取り戻した鹿島の前に名古屋はボールを運べない展開となっていく」
「横浜Fマリノスのプレッシングも連動がえぐい!と書いたが、鹿島アントラーズもかなりえぐかった」
「対人で負けるんじゃない!人への意識強め!という鹿島の伝統もあるからわからないでもない」
「プレッシングに耐えきれない名古屋はロングボールを蹴るけれど、準備万端の鹿島のセンターバックの前に山崎は沈黙」
「前半で柿谷と交代となった」
「名古屋はサリーを中心にボールを保持しようとするけれど、サリーをする時間を鹿島が与えてくれない」
「可変式の弱点だな」
「また、サリーをしても鹿島の圧力に焦っていたのかロングボールが多かった」
「このあたりは相手ボールになってもどうにかなるやろ!という計算もあったかもしれない」
「最初の分岐点は鹿島のボール保持対名古屋のボール非保持をどのように評価するかだな」
「試合を眺めていると、鹿島式の[442]の前に、名古屋は守備の基準点をうまく見つけられないように感じた」
「確かに名古屋のプレッシングがハマっているね!なんて場面はあまり見られなかったな」
「鹿島の流動的な配置、ポジションを崩しても崩れないバランス、そして補完計画を実行する小泉。そしてバランサーのピトゥカ」
「名古屋はまたもカウンターになかなか出られない時間が続いた」
「鹿島の圧勝だな」
「でも、ランゲラックのミスで失点するまでに鹿島に決定機があったかというと、実は記憶にない」
「確かに試合を支配している感は強かったが、ゴールに迫力をもって突撃していたか?と言われると、ランゲラックまで届いた場面はそんなになかったのか」
「というか、記憶にないやろ」
「ないな」
「そういう意味では鹿島もゴールまで迫れそうで迫れない、というのが正しい表現になる気がする」
「そう考えると、あの失点がなければどうなかったかわからなかったわけか」
「スコアレスならもっとはやく上田と荒木が登場したと思うけどな」
「ところで話を名古屋に戻すと」
「川崎戦でスリーセンターとテクニカルな選手に突破口を見つけたように思えたんだけど」
「その説は不採用なようだな」
「名古屋の面々を眺めると、ウイングが鬼」
「彼らにオープンな形でボールをもたせたら鬼」
「ではどうするか」
「相手陣地からプレッシングをするよりも、ハーフラインくらいからプレッシングを始める」
「ボールを奪ったら速攻」
「それだな」
「相手陣地からプレッシングをすると、ゴールはすぐそこすぎるからな」
「高い位置からプレッシングを行うと、相手が蹴っ飛ばしてくる可能性もあるし」
「そういう意味ではボールを相手に持たせる!という選択は理解できる」
「ボールを相手に持たせるなら成功体験を積んできている[442]だ!というのも理解はできる」
「[442]を維持したまま、サリーをすることでボール保持も安定させたいんだろうな」
「でも待ってほしい」
「なんだ」
「サリーをすると、ウイングの選手たちの立ち位置はどうなる?」
「定跡ではインサイドレーンになるのではないか」
「マリノスみたいに偽サイドバックやセントラルハーフの突撃でもやれば大外レーンにウイングを配置したままでいけるけどな」
「名古屋は絶対にやらないだろ」
「となると、吉田や成瀬が高い位置や相手のサイドハーフの裏でボールを受けるようになる」
「このときにサイドハーフが同じレーンにいると、さすがに収まりが悪い」
「マテウスや相馬がインサイドレーンでも丁寧にプレーできるか、周りの選手がサポートできるか?というと行き止まり、というか、めっちゃ時間がかかりそうな気がする」
「せめて片方でもインサイドレーン大好き!みたいな選手を起用できればいいんだけどな」
「サイドバックはいろいろな選手がそろっているので、大外を任せてもそれなりにプレーできそうだしな」
「つまり、名古屋は実は色々なことができそうなメンツがすでに揃っている」
「サイドは森下におまかせもできるし、宮原に守備をおまかせもできそうだろ」
「狭いエリアでも息ができそうな柿谷、学、シャビエルと人材もそろっている」
「列の枚数調整が得意な阿部もいるし、インサイドハーフでビルドアップの出口となれる長澤もいる」
「ついでに全く出番がないけど、ファンタジーでは群を抜いている児玉もいる」
「山崎が機能しないときにすぐに柿谷、そしてシャビエルが登場するのだから、名古屋の首脳陣もそんなことは百も承知なんだと思うけどな」
「このあたりのバランスをどこに置くのか、それともマテウスと相馬が大外でもインサイドでもプレーできるように魔改造されるのか」
「どうなるかみてみよう案件だな」
「話を鹿島に戻すと」
「この試合で準備されていた沖から杉岡のロングボールで何度も前進していたのには笑った」
「マンジュキッチ大作戦だな」
「相手の空中戦の弱いところに自分たちの強いところをぶつける」
「なので、サイドバックの大型化も大事だな!というのは長友、内田のころから言われていることでもある」
「名古屋が前から奪いに行くと、沖まで戻してからのロングボールだからえぐい」
「ボールは持てど迫力が微妙だと言われてしまった鹿島だが、荒木と上田が登場するとガラッと変わる」
「特に上田は2連続でランゲラックまであっさりと届いてしまう」
「ペロッタの大量起用よりも一人のストライカーということか」
「後半は落ちついた名古屋のサリーやいちいち上手い柿谷とシャビエルに苦戦していたけれど」
「クリーンシートはシンプルに見事だった」
「試合はそんなところで終了」
「ではこんなところで」
「さらばじゃ」
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