【全方位型の選択の困難さと】リヴァプール対マンチェスター・シティ【短観のはずが】

2023/24欧州サッカー

ばい!今週も更新をしていない!!というわけで、今日はリヴァプール対マンチェスター・シティの短観をお届けします。せめて月曜か火曜に更新して情報の鮮度を保てや!という指摘は甘んじて受け入れる一方で、更新が義務化されているか?というとそんなこともない。書くのは楽しいんですよね。というわけで、スタメンはこちら。

Googleから引っ張ってきているのだけど、注目はデ・ブライネ。なぜかブライネになっている。この省略は見たことがない。なお、両チームともにかなり久々に見るので、浦島状態であることは念頭においてください。別に言い訳ではありません。そしてアリスター。未だにマクアリスターなのか、マックアリスターなのかわからない。今回はGoogleをリスペクトでアリスター表記。どこからバンドみたいな名前だぜ。

全方位型の弱点とは

2010年ころからインターネットの片隅でこのような主張をしていました。結局のところ、全部できないとあかんねん。ボール保持もボール非保持もネガトラもポジトラもこなせないとあかんねん。そら、どれで勝負するか?を明確にすることは大事やで。でもな、全部できないと、それが必要になったときにやられるねんと。

マンチェスター・シティはかの道を選んで突き進んでいる印象です。いつからか相手陣地からのプレッシングをやめ、ミドルプレッシングで自陣に構え、デ・ブライネとハーランドによるカウンターで勝負する策を手に入れたことで、マンチェスター・シティの最強感はますます増していきました。もちろん、彼らの本質がボール保持にあることは言うまでもありませんよ。この試合でもセンターバックの位置から大暴れをするストーンズはまさにグアルディオラの魔改造によるものであることは否定できません。

さて、いいことづくしの全方位型のような雰囲気ですが、最近は怪しげな雰囲気が漂ってきています。その理由はひとつの思想が実は大きな意味を持っていたからでしょう。その思想は「ボールを保持していれば失点しない」です。消極的なボール保持とも言われることもあり、それは退屈であると表現されることもありましたたが、ゆっくりのサッカーで試合のペースを落とし、相手にボールを与えないことで攻撃機会を削る概念は今でも根強く残っています。

ただし、ボール保持からカウンターをすることはやはり難しいです。相手をおびき出すことで裏にスペースを創る手法が生まれましたが、デ・ブライネとハーランドのカウンターを見ていると、相手に攻め込ませる罠と相手にプレッシングをさせることで自陣におびき出すでは、カウンターの意味合いが変わってくることは紛れもない事実。似ているようで根っこは異なるというか。

何の話やねん!と言いたくなりますが、この試合のマンチェスター・シティはリヴァプールの怒涛の立ち上がりで自分たちのペースを乱した論を見かけたが、個人的にはマンチェスター・シティのプレッシングに違和感を覚えてしまった次第です。もう少し前から追いかけるがデフォルトだったような。全方位型の弱点はその戦い方で本当にいいの??があります。もちろん、ミドルプレッシングからのカウンターもマンチェスター・シティは磨いているから勝機は存分にあるのだろうけど、リヴァプールだって、ボール保持を磨いているのだからこの辺りの計算は本当に難しいのだろうなと感じるところです。

相手の状況を見て、もっとも適した局面の噛み合わせを選べるかどうかは全方位型の難易度を高めているところでしょう。いつか帰るところをもう少し大事にしてほしいなとは全方位型のチームを見ていると感じています。

シティ化が進むリヴァプール

アーノルドが中盤に移動してピルロのような働きをしていたころからリヴァプールの名走は始まっている。そんな言葉はないけれど。リヴァプールとシティが覇権争いをしていたころに両チームのゴール集を比較したことがある。シティのゴール集は見事に相似形だったことに対して、リヴァプールのゴール集は圧倒的にカオスであった。もちろん、いい意味である。

しかし、撤退した相手をどうする?に悩んだ結果、ボール保持をどげんかせんといかん!というよりは、インサイドハーフにクリエイティブを!みたいなニュアンスがようやく叶ったのが今季だろうか。最強の気の利くアリスターとソボスライのコンビはえぐい。

リヴァプールのビルドアップは右肩上がり。右のレーンをエリオットとブラッドリーで共有、左のレーンは大外にディアスで内側にソボシュライ。遠藤の横にアリスターと【325】かよ。たぶん、この配置の肝はアリスターの開放をになった遠藤なんだろう。正確に言えば、アリスターをどうしても固定的になるアンカーの役割から開放し、フリーマンのように列を移動できる役割に移行できた事が大きい。

さらにもともとのリヴァプールの良さも戻っていた。リヴァプールといえば、ファン・ダイクからの唐突なロングボールである。ヌニュスが空中戦の的になったり、右サイドのポジションチェンジアタックだったりと、ファン・ダイクのロングボールとアリスターが必要な場所に現れる合せ技によって進化したボール保持をミドルプレッシングで抑えるのはどうなの?という話である。

めんどくさい3バックと2セントラルハーフによる段差

ただし、この論理はマンチェスター・シティがボールを保持したときにまるで勝算がないときは成り立たない。だって、ミドルプレッシングを仕掛けるよりもボールを保持したほうが勝てないのなら正解はミドルプレッシングとなる。

マンチェスター・シティの配置も【325】。猫も杓子も【325】は未だに健在である。しかし、マンチェスター・シティの【32】はやはり面白い。アケは気がつけばサイドバックの位置にいるし、そもそものウォーカーはサイドバックが本職だ。3バックが68メートルを目一杯に使えば、空いたレーンにロドリが降りてくる。この変化がにくい。この時代に【433】で守るリヴァプールの姿勢には驚嘆だが、3バックを中心とする立ち位置によるレーンの変化とセントラルハーフたちの列の移動と段差作りはリヴァプールを苦しめていた。

そういう意味ではボールを保持したほうが良さげな試合である。しかし、デ・ブライネとハーランドのカウンター、速攻というオプションを有効利用するためのマンチェスター・シティのプレッシングスタイルと、リヴァプールの死なば諸共だべというプレッシングスタイルを比較すると。どちらがボール保持の機会を創出するか?となればリヴァプールだよね、という展開はサッカーの原則どおりであった。

カゼミーロの役回りのような遠藤

そろそろ話は終わりだ!と言いたいところだけど、この試合の遠藤が面白かった。デ・ブライネとのマッチアップで負けていなかったことは言うまでもなく、相手を吹き飛ばしながらボールを奪い切るところは流石であった。一方でボール保持においては、自分の立ち位置やボールを受けることで相手を引き付けて味方に託す姿勢はまるで昔のカゼミーロのようだった。

そして両脇を固めるアリスターとショボスライがクロース、モドリッチばりに気が利くところの関係性も面白かった。たぶん、遠藤を孤立させたら詰む。隣に誰かが必要になる→アリスター。3バックに変化するとしたら片側を上げる→右サイド。左サイドはディアスが孤独にアタックできるので、いざとなったらビルドアップを助けられるショボスライとチームのバランスがすこぶる良い。

さらにサラーが出てきたときにジョー・ゴメスが右サイドに移動して後方支援を淡々と行っていたのが面白かった。たぶん、いざとなったらセントラルハーフ化もこなしているのだろうという雰囲気が最高だった。前半は左のセンターバック、後半は右のサイドバックと縦横無尽のポリバレントさだった。

なぜデ・ブライネを交代したのか

なぜなんでしょうか。アルバレスの左サイドにドクは非常にわかりやすく、あのインサイドポストにあたったシュートが入っていれば采配が大当りとなったことは間違いないわけで。一方でデ・ブライネを下げて、フォーデンを内側にいれる采配は興味深いわけで。

ただ、はっきりしていることは70分以降にマンチェスター・シティがボールを持ってゆっくりとする時間が流れたこと。たぶん、ボール保持に揺り動かそうとしたのではないか論。でも、ドクは仕掛けるやんけと言われたらそうなんだけど、実際にマンチェスター・シティがゆったりとする時間をデ・ブライネ交代以降、しかも70分以降に作れたことは大きかったのではないかと。偶然だろうけど、フォーデンのバー当てもあったわけで。

デ・ブライネが攻撃を加速、完結させてしまう傾向にあるということはもしかしたらあるかもしれない。フォーデンも突撃しそうだけど。この辺りの選手の組み合わせというか、ベルナルド・シウバも残って、コバチッチがインサイドに起用された意味を考えると、グアルディオラが何をピッチに起こしたかったか、何が変わったか?を考えると、意外と今後の起用は要チェックかもしれない。

ひとりごと

ほぼ前編ひとりごとのようなものなので、もう書くことがない。さらばじゃ。

 

 

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