レアル・マドリー対ヘタフェの雑感

2023/24欧州サッカー

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サンチャゴ・ベルナベウが新しくなったらしい。正確に言うと、改修が終わったらしい。

色々なスタジアムが世界にあることを知る。

そんなことはさておき、今日の相手はヘタフェである。ヘタフェといえば、マドリード・ダービー。更に言うと、レアル・マドリーに在籍していた選手にお礼参りをされることで有名である。ヘタフェ時代のパレホがカシージャスと一悶着あったことを何となく覚えている。しかし、最近のヘタフェは暴力的なチームになってしまっていると聞いていた。試合を眺めると、ボールと関係ないところで相手にアタックするなど、なんでこうなった!!と悲しくなったことは言うまでもない。

レアル・マドリーは本当に属人的なのか

昨年度もチャンピオンズリーグでマンチェスター・シティを苦しめるなど、謎な強さを誇っていたレアル・マドリー。ハイライトは一昨年のシーズンで、プレミアリーグの最強トリオを次から次へと撃破していたことは記憶に新しい。

レアル・マドリーの強さを表現しようと世界中の戦術くんがチャレンジしたが、全員が玉砕していたように思える。再現性のない再現性の前に、これまでの世界のサッカーの潮流、文脈と離れているようで離れていないのかどうなのかもよくわからないまま、ベンゼマの移籍、ベリンガムの加入とミラクルレアル・マドリーは解散を迎えることとなった。

ヘタフェ戦のスタメンを眺めると、ヴィニシウスもいない。知らぬ間に怪我をしたようである。ベンゼマとヴィニシウスのセットはミラクルレアル・マドリーの象徴であったため、彼らがいないレアル・マドリーもまた不気味というと、素の姿が見えるのかなと楽しみな試合となった。

右を担当していたロドリゴが左、ホセルが右を担っていた。ロドリゴはロドリゴの役割を!と思ったが、ヴィニシウスの役割を与えられる。ある意味で左のほうがやはり本職なのか。そして、中央に鎮座することで持ち味を出すと先入観を持っていたホセルがロドリゴの役割を果たしていた。もちろん、役割を果たしていたとしても個性の違いがある。ホセルはサイドに流れることもあれど、ブラジル人コンビ程は流れない。

何が言いたいのか。何が違和感なのか。

ヴィニシウスがいなくてもロドリゴはロドリゴの役割で良いじゃん!と思うし、ホセルをCFで使って、ベリンガムをインサイドハーフでもいいじゃんと思ってしまうのだった。でも、アンチェロッティの考える配置【4312】を優先し、選手を当てはめ、その役割を他の選手にも当てはめるのはちょっとおもしろいなと。レアル・マドリーらしくないというか。いや、もしかしたらそれがらしさなのかもしれないけれど。

それぞれの選手の役割を見ていくと、センターバックはビルドアップの出発点のようでそんなことはない。センターバックの運ぶドリブルや裏抜けのロングボールがないわけではないが、レアル・マドリーの伝統芸であるめっちゃうまいやつがボールを触りに降りてきてそのまま運んでいく。なので、負荷は少ない。

カマヴィンガは左サイドの後方支援を担当している。チュアメニはカマヴィンガの位置にあわせて中央よりは右にずれることが多いが、基本的な仕事はアンカーである。

サイドバックは大外レーンを仕事場としている。特にファンガルシアは香車のごとく突撃する。ヴィニシウスがいれば内側にいることもあるだろうが、基本的にはウイングを追い越す、もしくは、大外でボールを持ってなんぼの選手のようだ。

左ウイングの選手は大外レーンと内側レーンを行ったり来たりしながら。チームとしては内側レーンにいてほしいように思える。彼らがビルドアップの出口となったり、ライン間でボールを受けたり、ハーフスペースを走り抜けたりと多くの役割をこなす兼ドリブラーという仕掛けは非常にずるい。

問題は右サイドである。

カルバハルが大外でも内側でも仕事ができるけれど、いまいち噛み合わないのである。左の後方支援がカマヴィンガと定まっているのに対して、右サイドは定まっていない。定まっていないゆえの自由度の高さはあれど、現状は不安定なものになっている。ある意味で空白。そんな右サイドにはベリンガムが登場することも多い。ベリンガムのプレーエリアを広げるための策のようにも思えるが、ピッチ全体を動き回るベリンガムが必ずしも右サイドのサポートに間に合うわけでもない。

モドリッチがいるので、ボールを失うわけでもないので危機的なわけではないけれど、右サイドを本職とするアタッカーがいればまた変わりそうである。ロドリゴの能力に疑いの余地はないけれど。だからこそ、ブライム・ディアスを取り戻したのかどうか。

チームとしての役割と個人が生み出した役割は差こそあれど、従兄弟みたいなものである。そのバランスというか、どこまで明瞭にし、どこまで曖昧にしておくか。

ただし、今季のレアル・マドリーはベンゼマではなく、ベリンガムの登場でによってかちっとしてきた印象で、それは後半に顕著に現れる。

左サイドも右サイドも役割をはっきり。さらにレーンの共有もできる限りはしない。していたけど。後半の修正の肝はクロースとモドリッチを後方支援に固定したところ。ボール保持の安定と時間とスペースを得られそうな後方支援隊にこのコンビがいる意味は大きい。

ゴールキーパーにビルドアップ能力、というよりも、正確なロングキックが求められる理由はフリーでボールを持てるからだ。センターバックも同じく。クロースやモドリッチが相手のプレッシングの届かない場所でボールを受けて、クロースはロングパスで、モドリッチはさらに自力でボールを運びながら時間とスペースを味方に配り始める。

特にこの試合ではクロースが鬼であった。クロースがボールを持ったときに大外からカルバハルの動き出しの多さが尋常でなかった。

むろん、カマヴィンガが悪いのではなく、クロースが凄いだけ。

また、モドリッチとクロースのパス交換は中央レーンをまたぐ形で行われる。ハーフスペースからハーフスペースへ。

これって地味に効くんですよね。

大外に質的優位マンがいないと意味がないという言説は間違っていませんが、時間とスペースを得られやすい位置に天才たちを配置するもまた定跡のひとつだなと。

そんな試合でした。

なお、モドリッチを下げて前の枚数を入れてレアル・マドリーはバランスを崩し、アンチェロッティも采配を失敗するのか!と眺めていると、ロスタイムに途中出場のルーカス・バスケスのシュートのこぼれをベリンガムが押し込んでハッピーエンドでした。。新しいサンチャゴ・ベルナベウの門出を祝うような展開で

ひとりごと

役割の曖昧さと明瞭さと。

時間とスペースを得られる選手をどこに置くかと

配置から与えられる役割と個性から創発される役割と。

優先順位はどっち

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