【4-4-2の菱型】アイルランド対スウェーデン【トゥヘル式プレッシング】

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ベルギー、イタリアと同居したグループリーグを考慮すると、両チームにとって、6ポインターみたいな位置づけの試合。

予選ではドイツを破ったアイルランド。お馴染みのメンバーを率いるのはマーティン・オニール。懐かしのアストンビラの名将。そして、マネージャーにはロイ・キーンがいる。ドイツ、ポーランドと同居した予選をプレーオフ経由で突破できたことは素晴らしい。プレーオフでボスニア・ヘルツェゴビナを倒したアイルランドの冒険はもうちょっとだけ続く。

こちらもプレーオフを突破したスウェーデン。イブラヒモビッチへの依存が半端ないらしい。でも、パリ・サンジェルマンも似たようなものなので、イブラヒモビッチがそれだけ偉大ということだろう。今大会でラストになりそうなイブラヒモビッチだが、やるといえば2年後もしっかりと代表にいそうなところが恐ろしい。そして、U21欧州選手権で優勝メンバーがフル代表にも呼ばれるようになっている。そんな若手のプレーにも期待が集まっている。

アイルランドの4-4-2の菱型

スウェーデンは、非常にノーマルな形で試合に入った。相手がボールを保持しているときは、中央圧縮した4-4-2。ボールを保持しているときは4-4-2の形からイブラヒモビッチとシェルストレームのラインを下りる動きによって、ボールを前進させていく形だ。サイドハーフがセンターに入ってくることはあまりなく、攻撃的なサイドバックとの連携は、なかなかの迫力を見せた。特に左サイドバックのオルソンは、果敢な突破力でチームの攻撃を牽引していた。なお、オルソンはノリッジに所属している。アイルランドにもブライディ、フーラハンとノリッジの選手がいて、ノリッジサポにはたまらない試合になっていたのかもしれない。

アイルランドのシステムは4-4-2の菱型。ボールを保持しているときも、保持していないときも4-4-2に菱型が維持された。どのように4-4-2の菱型で相手のボール保持に対抗するかと見ていると、アイルランドはしっかりとした準備をピッチの上で披露した。2トップは2センターバックにぶつける。問題のサイドバックへのプレッシングは、インサイドハーフ(マッカーシーとヘンドリック)が行った。サイドバックからセンターへのパスコースは、2トップとフーラハンが観る約束事になっている。

サイドハーフを置かないシステムにおいて、相手のサイドバックへのプレッシングは致命傷になりかねない。もちろん、自陣に撤退して跳ね返す場合の話は別だ。インサイドハーフをサイドバックに突撃させることで、相手のビルドアップの枚数とほぼ同じ枚数を揃える方法は、マインツ時代のトゥヘルが好んで使っていた戦術だ。相手にボールを保持させたくなければ、数的同数のプレッシングで相手に時間を与えないという考え方を採用したアイルランド。激しいプレッシングの前に、スウェーデンはロングボールでのプレッシング回避を狙った。しかし、イブラヒモビッチをしても、オシェイとクラークの気合いにはなかなか勝てなかった。こうして、アイルランドがボールを保持するようになる。

スウェーデンは4-4-2の中央圧縮で守備を固めた。方法論としては、何も間違っていない。間違っていたとすれば、相手がどのようにボールを循環させ、どのエリアで勝負してくるかを見極めたうえでの4-4-2の中央圧縮に至ったかになる。アイルランドのボール循環は、サイドが基本となった。スウェーデンははサイドにスライドしていくのだけど、サイドに流れるインサイドハーフ、2トップ、フーラハンの数的優位アタックに四苦八苦してしまう。特に左サイドバックのブレイディとアイルランドのファンタジスタと呼ばれたフーラハンにヘンドリックが絡んでいく攻撃は、なかなかの見ものだった。

ビルドアップの面でもアンカーのウィーランはラインの出入りを繰り返すことで、ビルドアップの枚数を調整し続ける。インサイドハーフコンビもスウェーデンの2トップの脇のエリアから攻撃の起点になるなど、ポジショニングでビルドアップの精度を高めることに成功していた。また、ウォルターズとロングにロングボールを放り込むことも忘れない。セカンドボール拾う隊も準備されているので、ショートパスによる準備された攻撃とロングボールによる速攻でアイルランドはスウェーデンの陣地に迫っていった。

ただし、時間が過ぎて行くと、スウェーデンが安定してボールを保持するようになる。インサイドハーフのサイドバックへの突撃は鳴りを潜め、1列目も相手を延々と追いかけ回すような真似はしない。すると、スウェーデンの左サイドが躍動し、イブラヒモビッチもボールを触るようになる。ただし、オシェイとのマッチアップは、なかなか胸をあつくさせるものであった。前半の終わりにルスティグが負傷し、リンデレフがサイドバックへ移動し、交代でヨハンソンが登場する。ヨハンソンは姿形がイブラヒモビッチに似ているので、少しびっくりした。

コールマンとスウェーデンの意地

後半の開始とともに、ラッシュを見せるのはアイルランド。このラッシュで先制点をもぎ取るから素晴らしい。左サイドからの仕掛けからボールが逆サイドに流れると、おとなしかったコールマンが突然の切れ味するどいドリブルを見せ、クロスに合わせたのはフーラハン。アイルランドが自分たちの仕組みで相手を殴り続けたことで、生まれたゴールだった。

アイルランドに負けたら、グループリーグ突破はかなり厳しくなりそうなスウェーデン。波状攻撃を見せる。アイルランドも受けて立つような形で、セットプレーの連続から、スウェーデンの攻撃が始まった。しかし、空中戦の強いアイルランドとバスケットでも有望株だったランドルフがゴールを許さない。それにしても、オシェイがイブラヒモビッチを抑えることになるとは夢にも思わなかった。

59分にベリ→グイデッティ。セルタの暴れん坊が登場。スウェーデンはイブラヒモビッチにボールを預ける原点回帰で迫っていく。途中からサイドバックに入ったリンデルフも躍動し、徐々にサイドから崩れそうな雰囲気が出てきたアイルランド。64分にウォルターズ→マクリーンを投入し、4-4-2のフラットにシステム変更する。サイドバックを抑えるために、しっかりとサイドハーフを配置した形だ。

アイルランドの論理的な采配をあざ笑うかのように、スウェーデンの流れるような攻撃が炸裂する。最後は味方を追い越したイブラヒモビッチのクロスをっクラークが痛恨のオウンゴール。クラークが触らなくてもラーションがいたので、しかたない71分の失点となった。

残り時間の20分間は死闘。ロビー・キーンの登場がハイライトか。アイルランドは攻撃の駒を交代しながら攻撃を仕掛けていくが、イサクションが前半から地味にうまい。逆にスウェーデンの枠内シュートはゼロのまま終わる。なお、またもオウンゴールか!というきわどいクロスの場面などはあったんだけど。こうして両者の意地のぶつかり合いは仲良く引き分けで終わった。つまり、両者がベルギー、イタリアを相手にどれだけ勝点を稼げるかという運命に落ち着いた。

ひとりごと

イブラヒモビッチに依存するなら、もっと依存してしまえばいいのにと思う。イタリアにがっつりひかれたら崩せそうなので、次の試合が決戦となりそう。

アイルランドは、自分たちの良さを出す時間帯の強さはある。よって、ベルギーを相手にしてもいい試合をしそう。しかし、相手に主導権を渡してしまうと、心臓に悪いような試合をすることになるだろう。でも、守備はそれなりに守れるから、何とも予想しにくい。

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