【猫も杓子も】アルメリア対ジローナから考える[325]の未来とは【動的とか静的とか】

2023/24欧州サッカー

前回にジローナを見たときにも[325]のついて考えさせられたと記憶している。ジローナには[325]について考えさせる何かがあるようだ。さすが、マンチェスター・シティの親戚だぜ。

[325]のおさらい

猫も杓子も[325]。改めて[325]とその未来について淡々と燦々と考えていきたい。

キーはこの位置の数的優位の噛み合わせ。相手のサイドハーフの守備の基準点をなくしていることもポイント。相手のファーストラインをいかにして超えるか?という観点も大事だけど、どのポジションの選手からずれを作るか、そのためにマークをなくしてしまえ!という考え方のほうが実践的。サイドバックが内側に絞ったり、センターバックが列を上げたりする移動も、結局は相手から自由になり、相手のマークをなくすことがチームの利に繋がっている。

[3バック]の運用

最近のスタンダードは3バックは後方に残らない。片側は攻撃参加することが多いし、ビルドアップの段階で中央3レーンを埋めない。このあたりは前回の記事の振り返りに近い。カウンターリスクを考慮してセンターバックの二枚残しがスタンダード。なお、マンチェスター・シティは一枚残しをときどき実行する。両脇のセンターバックはサイドバック仕事をすることもあれば、セントラルハーフ仕事をすることもある。

余談だが、片割れのセンターバックが攻撃参加することで左右の配置が非対称になることが大きい。守備の配置は対象で行うことがデフォルトである。ときとき片割れのウイングは攻め残りという名のサボりを許容されることもあるけど。非対称の配置によるボール保持に対して、対称の配置で守備を行うことは圧縮がメインとなる。でも、どこまで圧縮する問題と狭いエリアでもコンビネーション発動型が増えてきていることもあって、いたちごっこは永遠に終わらない。

両脇のセンターバックがインサイドハーフ仕草をやることは流石にあまり見かけない。基本的なタスクはサイドバック仕事と後方支援仕草となるだろう。日本対ベトナムでも感じたけれど、セントラルハーフの経験が多い伊藤洋輝のほうが本職サイドバックを経験してきただろう菅原よりも多様なタスクに対応しそうな現実は育成の困難さを物語っていると感じた。

図にして思ったけれど、この位置まで両脇のセンターバックが出てくると、相手の中盤の選手への固定になるんだなと。だから先日は[23]でやったのかもしれないね。さすがにワンバックは、、、となりそうだけど、ルーベンが攻撃参加していたので、2→1バックへの変化も辞さないグアルディオラ。配置バランスの悪さは非対称性を利用。右で作って左サイドのドクのアイソやグバルディオルの空中戦という計算もあったかもしれないし、気の所為かもしれない。

[2ハーフとインサイドハーフ]の運用

[325]に[2]は正直いって動きようがない。必要のないサリーは怒られるし、前列に移動しようとしても埋まっている。フリーなら前を向けばいいが、最近はこのエリアは狩り場となる事が多いので、相手を引き付けてパスラインを創出する立ち位置が求められている。でも、それじゃもったいないから最終ラインの立ち位置を動かしてサリーするエリアを作ったり作らなかったり。

この図では[2]が縦関係になっている。相手が2トップだからに見えるけれど、最近はこのような変化を基本とするチームも増えてきている。ひとりの選手がアンカー化、もうひとりの選手が6人目として前線に加勢型。なお、6人目が加勢すると、インサイドハーフの選手がおりることができ、ブロック内の出入りが自由になりつつも、立ち位置のバランスが維持される構造になる。

非対称性のビルドアップ。センターバックが運べばいいじゃんと言いたいけれど、現実は厳しいもので。でも、相手からすればシンプルに圧縮してもどこかが空きそうな予感で一杯となる。センターフォワードの選手は空中戦の的や相手センターバックの固定役となるけれど、最近はセントラルハーフとインサイドハーフをぐちゃぐちゃさせるチームが多い。インサイドハーフがセンターフォワード仕草、セカンドトップでもいいけど、それが可能ならセンターフォワードも仲間にいれてぐちゃぐちゃにする。そんなマンマーク対策。

突然のジローナについて

表題のジローナはこんな感じ。右サイドに人を集める。というよりも、右のインサイドハーフの選手がトップ下兼インサイドハーフを行う。で、セントラルハーフの片割れがセントラルハーフ兼インサイドハーフ。もうひとりのセントラルハーフがアンカー。これらを明確なトリーガーで使い分けているか?というと別にそんなことはない。必要に応じて各自が勝手に判断する。それこそ空白のエリアに移動することで、チームが利を得るならば誰が移動しても怒られることはない。この動きを得意とするのが左サイドバック兼左インサイドハーフのミゲル。果たしてマドリーは買い戻すだろうか。

フリーマンとフリーロール

恒例の[315]。別に[225]でも構わない。ブライトンの提示によって、[22]ビルドアップの可能性が広がったことはサッカー界に大きな影響を与えた。ビルドアップ隊が5枚、フィニッシャー隊が5枚の世界でビルドアップ隊が4枚でできれば、より大きなバグを使いこなすことができる。

バグは非対称性を伴って発生することが多い。だって、[315]、[225]の時点でピッチは均等に埋まっているから。なので、バグはいわゆるオーバーロードという名の密集大作戦に近い。あくまで近い。さらに相手の守備の基準点の外側で行動するフリーマンは厄介極まりない。つまるところ、前回のアジアカップでのカタールやリカルド・ロドリゲス時代の徳島は時代を先取りしすぎた感がある。

ビルドアップのときにフリーマンを見つけようと指導現場で言われるが、それはフリーな選手と言い換えることができる。ここで言うフリーマンは文字通りフリーロールで動き回る選手のことだ。ジローナは多岐にわたるタスクと左サイドの自立によってフリーロールを右サイドで共有する仕組みが秀逸だった。昨年のチャンピオンズリーグのファイナルで相手からスルーされ、ついでにボールが全く来なかった右インサイドハーフのストーンズ(なんでインサイドハーフやねん)が右ハーフスペースから自由の動き回ることで状況が変わったことも記憶に新しいだろう。

 

[5トップ]の運用

まだ、終わらんのかい!みたいな。最後に前線の5枚について少し。

ポケット襲撃もオーバーラップも含めて、二人称アタックは装備したい。ただし、言うは易し。特にインサイドハーフの選手がウイング仕草ができるか?というと曖昧だし、ウイングの選手がライン間仕事できるか?というと、これはできてもらわないと困る時代。イメージはこの間のドクとグバルディオル。古くはヴェルナーとアロンソ。なお、ここにサイドバックが絡んでくると、3人称アタックになるので、図で言えば、LCB、もしくはボランチ、もしくはオーバーロードの世界となる。

中央3レーンアタック。ここの選手の働きはマジで多い。基本的にはライン間の住人なんだけど、ビルドアップ隊の可変に合わせて、相手のブロックの内と外を旅行することが求められるし、ときには大外レーンに斜めに降りてビルドアップの出口となることも求められる。

最近の流行りはセンターフォワード的な選手がいないときに自分たちの位置を変えまくること。例えば、図ではワントップ×ツーシャドウ。これをツートップ+トップ下にしたりとか。もしくは0トップ採用でシャドウしかいないとか。シャドウがビルドアップを助けに行ったら、ウイングが埋めるのか、センターフォワードが埋めるのか。もしくはそのままか。オーバーロード要員になることも多いので、空白のエリアを埋めるのか、そのままにするのかとかとにかく認知、判断の塊みたいな構図になっている。

ひとりごと

もはや[325]ではない感が強いが、[325]も進化というより変化する時代でしたというお話でした。

コメント

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