【ウイングバックはどこで守る?】日本対シリア【後半は4CB】

森保×日本代表

はじめに

「日本対シリアの振り返りがはじまるよー」

「やってくぜ」

「ミャンマー戦について簡単に振り返っていく」

「リンクをはっても読んでくれないことはわかっている」

「世知辛い世の中なんだぜ」

「ミャンマー戦では【3151】を披露。橋岡サイドの攻撃参加の少なさや堂安と菅原の役割分担の不明瞭さが相まって機能しない右サイドと伊藤のサポートを得て中村、鎌田が躍動する左サイドと」

「まさにコントラストのような試合だったんだぜ」

「後半に橋岡の攻撃参加を許容したり選手を入れ替えたりして修正完了!と言いたいところだけど」

「さすがにトランジションで綱渡りとか自陣に残っている選手が谷口とアンカーくらいとか」

「ボール非保持はウイングバックを下げて5バックになったりとか」

「派手さと怪しさが共存するような試合となったわけだ」

「そして迎えたシリア戦」

「ノリで行ったスタメン予想がだいたいあっていて面白かったぜ」

「ターンオーバーのパズルを解いただけなので、ターンオーバーをあまりしなかったウイングバックだけ予想が外れている」

「ハードワークの中村敬斗と堂安律」

「では、そろそろ試合に話題を移していく」

【3151】ではなく【325】

「本音を言うとどちらでも構わないのだけど、ミャンマー戦とは明確に異なった部分が旗手と田中の役割だったんだぜ」

「旗手は相手のライン間に常駐し、味方の出入りに対してバランスを取ると」

「田中も序盤こそは旗手のような仕草をしていたけれど、気がつけば遠藤の側でプレーする場面が増えていった」

「逆に遠藤が上がる場面もあったけれど、この試合ではセントラルハーフが2枚って感じだったな」

「欧州風に言えば、ダブルピボットだな」

「点差が早々に開いたこともあるし、相手が【442】で構えていたこともダブルピボットになった理由だろうと思う」

「前線に理由を求めると、南野はあまりブロックの外にでる動きを好んでいるようにも見えなかったからな」

「南野で興味深い動きは久保のレーンの横断に合わせて、立ち位置を変更していたことだろうな」

「鎌田だったら出入りするから補助がいたほうがより解放される感もあるけれど」

「ここで気になったことがある」

「なんだ」

「相手のブロックの中にいるか、外にいるか。代わりにレーンを埋めてくれる人がいなくてもブロックの外に旅立てるかどうかは重要そうな個人戦術なんだなと」

「埋めてくれる人の存在を匂わせている時点でグループ戦術感が強いけどな」

「その他ではボールを触ってなんぼの久保くんさんなんだけれど」

「久保くんがどうした」

「ブロックの中と外を旅行するプレーも良いんだけど、裏抜けが少ないような気がした」

「この試合で裏抜けが求められていたのか?感は強いけどな」

「別に久保くんさんが裏抜けしなくてもいいんだけど、それだったら最初から大外で待っている方が彼の良さが出るのかなと改めて感じる試合でもあった」

「ソシエダでサイドで起用されている理由を感じたということか」

「インサイドハーフもできそうなんだけどな」

「橋岡が苦戦した攻撃参加はどうだったのか?」

「冨安と町田が交互に攻撃参加していたようだったな。二人同時にという場面はなくもなかったが」

「大迫も入れてボールを回すときは冨安がサイドバックのような振る舞いになっていたのは面白かったな」

堂安と久保がサイドレーンを共有することは日常茶飯事だし、左サイドは大外に中村、内側に南野と全員が得意な役回りと立ち位置を取れることがこの配置の最大の特徴だろうな」

「その代わりに空白のレーンがないので、上田のポストプレーと田中碧の謎の飛び出しの回数は減ると」

「本当は私が6人目だから攻撃がこの先に待っているんだけど、もう少し未来の話だな」

後半は【4231】

「というわけで、前半で3-0になったこともあり、中村敬斗はお役御免」

「代わりに伊藤洋輝が登場し、ここでまさかの4バックとなる」

「南野が左サイドで堂安が右サイドで久保がトップ下」

「私が五人目だからは田中碧」

「しかし、ビルドアップの場面を見ると、この配置でも3バックでボールを保持するを再現したそうに見えた」

「冨安と伊藤ならセントラルハーフに可変しても問題ないけどやらなかったな」

「そのあたりは準備不足だったというよりはもっと他にやるべきことがある!みたいなニュアンスを感じたのだけれど」

「なんやそのニュアンスは?」

「前半の日本は【541】撤退でウイングバックが最終ラインにいた。これは普通の形なので別に問題ない。けれども、堂安と中村が最終ラインにいるのはカウンターを考慮してももったいないし、守備面を考えてもメリットがまるでない」

「本大会では伊東と三笘が根性を見せていたけれど、地上戦ならまだしも空中戦で狙われるとさすがに苦しいからな。中村と堂安なら余計に高さで狙われる可能性が出てくるか」

「で、後半は4バック。左から伊藤、町田、板倉、冨安

「まるで4CBを並べたようだな」

「これはこれで壮観だろう。アーセナルやマンチェスターシティが行っているように、4CBでさらされても高さ勝負でも負けないぜ感を日本がだしてきたことは面白かった」

「その中でも器用なコンビがサイドバックを担っているわけか」

「将来的には伊藤か冨安がセントラルハーフ化するかもしれないな」

「そうなればウイングがウイングバックをやらなくても済むわけか」

「それにしても同じ監督の手法とは思えない采配だな」

「確かに前半は堂安と中村を最終ラインにおいて、後半は4CBだからな」

「哲学が違いすぎると言うか、なんというか」

「そんな柔軟性も森保監督のいいところなんじゃないかと」

「ビルドアップでも相手や自分たちの状況において適切な形に変化するカメレオンになれそうだしな」

「何か言い残したことはあるか」

「上田綺世が面白かったな」

「どういうところが面白かったのだ」

「前半はほとんどパスをしていないのに、後半はポストプレーの場面が格段に増えた」

「その心は」

4バックで埋めるレーンが曖昧になると、上田が降りてくるレーンができる

「3バックでレーンが埋まっていると、上田は降りてくる必要がなく、ゴール前に集中できるということか」

「今の時代は両方をやることが大事なので、どちらが良いという話ではなく」

両方の状況に対峙できた上田が凄いという話で」

「そういう意味では森保ジャパンの形がほとんど出た試合とも言える形となった」

「新しさと言うよりは、あちらをたててこちらもたてるというか」

「その代わりに怪しさを匂わせたトランジションたちの真価が問われる事になるこの瞬間はもう少し未来ということで」

「ドラゴンアッシュできれいにしまりましたとさ」

ひとりごと

ウイングバックが最終ラインに入る形を許容するかどうかが今後の鍵となりそう。森保ジャパン恒例のファーストディフェンダーが決まらない現象の理由に、本来の立ち位置から離れすぎてしまう選手がいる問題があった。ある意味でそれを受けいれてみたけれど、それはそれでリスクがあるということを確認したうえで、どうなるかは非常に興味深い。

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