らいかーると「さて、今日は先日の日本代表の試合について考えていきたい。アギーレ→ハリルホジッチにバトンタッチされた日本代表の船出となった試合だ。」
てんかーて「結果は2連勝。新戦力の台頭もあり、雰囲気は上々という試合だった。特にウズベキスタン戦では、柴崎、宇佐美、川又が得点を決めている。個人的には青山のゴールが一番感慨深かった。」
らいかーると「最初に、選手起用について見ていく。」
てんかーて「選手起用については文句のつけようがない。代表に呼んでも、選手を試合に出さない監督は多々存在した。懐かしの宮市と広山。だが、チュニジア戦とウズベキスタン戦で、日本代表のスタメンは完全に入れ替わっていた。記憶に無い采配である。このような入れ替えは、吉武監督くらいしか記憶に無い。さらに、チュニジア戦では藤春が、ウズベキスタン戦では昌子が、デビュー戦でフル出場を果たしている。デビュー戦でフル出場もなかなかないだろう。」
らいかーると「端から観ていても、日本代表の中で競争が行われていることが分かる。スタメンがが固定される傾向の強い近年の代表チームだったこともあいまって、このような選手起用は多くの人に歓迎されている。同時に、国内組にも出場機会が十分に与えられている。一時期は海外に行かないと、日本代表に選ばれない、というまことしやかな噂が流れていた。そんな噂を吹き飛ばすようなハリルホジッチの選手起用は閉塞感を見事に打ち破ってくれた。」
てんかーて「Jリーグで結果を残すことが代表に繋がる。そんな当たり前なことを実感しやすい現状は、とても幸福といえるだろう。なんでもないようなことが幸せだとどこかで聞いたこともある。」
らいかーると「次に、ハリルホジッチの代名詞でもあるハイラインからのプレッシングと守備について見ていく。」
てんかーて「日本語にすると、相手の陣地から積極的にボールを奪いに行く、ということになる。最近ではレバークーゼンが頭でもおかしくなったのではないか?というくらいに積極的な守備を見せている。」
らいかーると「相手の陣地から積極的にボールを奪いに行く目的は、大きく分けて2つある。高い位置でボールを奪い、その位置から攻撃を仕掛けていく。または、自分たちが一秒でも多くボールを保持したいから、相手に一秒でもボールを保持させないためにプレッシングをかける。ハリルホジッチの発言を見ている限り、前者である可能性が高い。」
てんかーて「大切なことは奪った位置から攻撃を仕掛ける、ということだ。サッカーには4つの局面があると言われている。ボールを保持している時、相手がボールを保持している時、ボールを奪った時、ボールを奪われた時。」
らいかーると「この分類法に大前提をつけようというのがハリルホジッチの狙いだ。その大前提とは、相手の守備陣系の状態にある。つまり、相手の守備が整っている時、相手の守備が整っていない時を大前提とする。ボールを保持している時でも、相手の守備が整っている時とそうでない時が存在する。その状況によって、ボール保持者の判断は変わる、という当たり前のことを改めて徹底しようとしている。」
てんかーて「この2試合に限って言えば、レバークーゼンのような頭でもおかしくなったのではないか?というような積極性あふれるプレッシングは継続して見られなかった。」
らいかーると「その原因は自分たちにもあるだろうし、相手にもある。自分たちの理由は不明。日本のプレッシングは元来、1列目と2列目が乖離する傾向がある。1列目の暴走か、2列目の見殺しかと議論の別れるところだが、それはまた別のお話。」
てんかーて「チュニジアはセンターバックが横幅をとる。キーバーをビルドアップに使い、時間を使うことで、ポジショニングを整える。ウズベキスタンはボランチ落としによるシステム変化によって、自陣でのボール支配を効率的に進めることに成功した。」
らいかーると「チュニジアはボール循環で、ウズベキスタンはミスマッチで、日本に対抗してきた。その中で、日本は1列目と2列目が簡単に前進させてしまう場面が目立った。失点にこそ繋がらなかったが、相手の変化に対して、どのように対応するかは未整備になようだった。さらに、アドリブで対応できるほど選手たちも自立していなかった。」
てんかーて「レバークーゼンなら走り切る。相手のポジショニングを無効化する方法の中に、走り切るという原始的な方法は確かに存在する。一般的な方法は全体のラインを下げるだ。ミスマッチの中に突撃していっても、体力を浪費するだけというのが公式の見解だ。」
らいかーると「最後に采配を見ていく。」
てんかーて「2試合ともに後半に試合が動いた。6人を交代できることから、采配の当たり外れを言ってもしょうがないといえるだろう。また、相手が疲労している後半に登場した選手たちが評価を上げ、前半組が評価を下げる、ということも考えない方がいい。」
らいかーると「興味深かったのは水本の中盤起用だ。」
てんかーて「後半の頭から登場した水本は自分がもともと中盤の選手です、というプレーを見せていた。しかし、すぐに前に上がってくることはやめた。おそらくそのような指示を受けたのだろう。試合としてはオープンな状況で相手のロングボールに苦しむ場面が日本は見られていた。」
らいかーると「それらを解決するために水本を入れたのだろう。空中戦要員、センターバックの付近にポジショニングすることで、セカンドボール拾う要員。ただし、ピッチの全体にその意図が伝わったのかどうかは不明だった。全体のラインを下げることに成功したが、行きたがりの前線とのかみ合わせは決して良いと評されるものではなかった。ただし、水本が入ったことで、中途半端な連動でボールを運ばれるよりも、後方で事故は起きにくいという計算になっている。」
てんかーて「今までの日本だったら、ボールを保持することで状況打開を狙いそうだが、ハリルホジッチは直接的な手当を好んで行うのかもしれない。全体のラインが下がったことで、3バック変化によるミスマッチの恩恵をウズベキスタンはあんまり受け入れられなくなっていった。これはハリルホジッチの計算通りだろう。相手が攻撃をしてくれば、おびきだすことができる。そして得たスペースには後半から登場するフレッシュな選手たちが結果を残せば良い。」
らいかーると「では、まとめ。」
てんかーて「日本のサッカーは色々な派閥がある。スペイン派閥もあれば、誰からも縛られない自由派閥もある。そういった言論の中心に居座っていそうな派閥の人々にとって、ハリルホジッチのサッカーがどのように映るのかは非常に興味深い。社会によって見えない空気によって縛られていると勝手に感じている人々は、サッカーに自由を求める習慣がある。おそらく、ハリルホジッチはその自由を笑いながら否定するだろう。」
らいかーると「そのような意味で、ハリルホジッチは興味深いリトマス紙になるかもしれない。おそらく、この2試合でハリルホジッチを否定する人の声はどこにも届かないだろう。多くの人が感じていた閉塞感を選手起用で打破したからだ。しかし、時間がたてば、日本代表に招集されるグループは、必然的に形成されていく。そのときに、何が起こるかは非常に興味深い。ただし、ジーコ、岡田時代のように結果で彼らを黙らせることは可能だろう。ただし、全てが終わった後にそれらは姿をあらわす。」
てんかーて「何をいってるかわからないだろうが、ニュアンスが伝われば良し。ところで、らいかーるとくんはハリルホジッチをどのように考えているのですか。」
らいかーると「手を変え品を変えで勝つために色々なことをしてくれそうな監督。おそらく、ハイプレスへのこだわりも実はそんなにない。ただ、相手が自陣に撤退して前進させない守備をしたときに、日本が抱えるどうやってボールを前進させたらいいの?みんなが集まってきて相手の隙間にレッツゴーの悪習慣、、もちろん、それはそれで大いなる武器になるのだが、、、との戦いに勝てるかどうかだと思うよ。」
てんかーて「ではまた。」
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