マンチェスター・シティ対アーセナル ~瞬間、マーク、重ねて~

マッチレポ×マンチェスター・シティ1718

行け行け!僕らのマンチェスター・シティ。とうとう第11節にたどり着いた。なお、現実は第27節まで進んでいる。なんてこった。粛々と更新していって、無事に現実に追いつく、または現実をしっかりと完了させられたら、自分に何か買ってやろうと思っています。何の話だ。

アーセナルのプレッシング

さて、このアーセナル戦の前に、マンチェスター・シティはチャンピオンズリーグでナポリと試合をしている。その試合でナポリはマンチェスター・シティからボールを取り上げることに成功した。自分たちがボールを保持することで、マンチェスター・シティのボール保持攻撃から身を守ることに成功していた姿を見て、アーセナルは考えた。自分たちもボールを持ちましょうと。そのためには、マンチェスター・シティからボールを取り上げる必要がある。よって、マンチェスター・シティの陣地深くからでもプレッシングをかけようと準備をしてきた。

極端に言うと、エデルソンにアレクシス・サンチェス、オタメンディにエジル、ストーンズにイウォビ、フェルナンジーニョにジャカという同数プレッシングを遥かに越える策を見せる。同数プレッシングの定義は相手のビルドアップ隊と同じ枚数でプレッシングをかけることだ。この試合でアーセナルの3バックにマンチェスター・シティは3トップをぶつけた。これが同数プレッシングだ。ただし、このビルドアップ隊には、キーパーは含まれていない。アーセナルの場合は、いざとなったらエデルソンまでプレッシングをかけよう、そのためのアレクシス・サンチェスでマンチェスター・シティに迫っていった。

大事なポイントがイウォビとエジルのポジショニングだ。最近の流行になってきているのだが、サイドハーフに位置する選手が相手のセンターバックにプレッシングをかける形だ。そのときの注意事項がサイドにボールを逃げさせないようにする。この配置で言えば、イウォビがストーンズにプレッシングをかけるときにウォーカーへのパスコースは必ず消さなければいけない。それらを混乱させるためのアラバロールは、この試合ではほとんど見られなかった。サイドへのボールを循環されることから相手を解放させてしまうと、ボール保持者に集中される環境をアーセナルに与えてしまうから、アラバロールをやらなかったのかもしれない。ときどきはやっていたけど。なお、それでもサイドにボールを循環された場合は、コロシナツとベジェリンが脅威の縦スライドを見せる役割になっている。

なお、マンチェスター・シティはロングボール&デ・ブライネのポジショニングでこの状況からの打破を狙う。デ・ブライネはほんの僅かな隙間と相手のマークの役割を重ねてしまうポジショニングが上手。アーセナルがボールを奪ってショートカウンターを発動!なんて場面はあまりなかったが、マンチェスター・シティも再現性を持ってプレッシングを回避という場面にはならなかった。となると、ボールを致命的な形で奪われなかったマンチェスター・シティに少しだけ分がある。走らされたアーセナルは徐々に撤退気味の守備に移行していく。なお、ボールを保持したときのアーセナルは、いわゆるアーセナルらしい攻撃でマンチェスター・シティの陣地に攻め込んでいくことはできていた。ボールを持てればいい勝負ができる。問題はボールをなかなか奪えないことであった。

撤退守備のアーセナル

15分過ぎから、マンチェスター・シティがアーセナルを押し込むようになる。アーセナルは後方に選手を固めたこともあって、どうしてもオタメンディたちへのプレッシングを行うことはできなかった。その代わりに、3列目と2列目の間を狭くすることで、マンチェスター・シティにライン間のスペースを与えない。さらに、2列目もしっかりとボールサイドにスライドすることで、ライン間でプレーする選手のエリアを限定する策を見せた。

ただし、すでに世界屈指の楔マンになりつつあるオタメンディ。この状況でも平気でシルバやアグエロにボールをつけていた。また、チームの狙いとして、コラシナツの裏をスターリングは何度も繰り返されていた。最近のマンチェスター・シティの攻撃は左サイドに偏りつつある。よって、左サイドを起点とすると、逆サイドの裏は狙い目といえるだろう。そんなチーム事情なのか、コラシナツの裏は取りやすいというスカウティングの結果なのかはわからない。ただ、サネの裏を狙う意図はなかったことは事実だ。よって、オタメンディのパスを受けるシルバやアグエロをしっかりと迎撃できないと、アーセナルはピンチになりやすかった。ただし、3列目のラインを上げすぎると、裏をスターリングが狙っている構図は、延々と繰り返されることとなった。

なお、そんな波状攻撃を見せるマンチェスター・シティは、18分にデ・ブライネがフェルナンジーニョとのワンツーからシュートを決める。守りきれるかアーセナルだったが、やはり撤退守備では難しかった。なお、その後のアーセナルはどうやってオタメンディ(マンチェスター・シティのビルドアップ隊)にファーストディフェンダーを設定するかで苦労していく。ラムジーやエジル、ジャカが出ていくのだけど、出ていくと、ライン間や彼らが担当する選手が空いてしまう悪循環となった。ただ、マンチェスター・シティもこの試合ではボールを奪ってからのカウンターが非常に多かった。それはアーセナルの撤退守備を相手にボールを保持するよりは攻めきったほうが良いと判断したからだろう。

なお、49分にはスターリングの裏狙いが炸裂し、アーセナルはPKを与えてしまう。これをアグエロが決めて、2-0となった。フェルナンジーニョからのボールをスターリングが抜け出した格好となる。なお、フェルナンジーニョへのマークがいたのだけど、デ・ブライネがボールを受ける動きをしたことで、フェルナンジーニョ番の選手がデ・ブライネにつられる→フェルナンジーニョに時間とスペースが生まれていた。デ・ブライネはこのようなマークを重ねる動きが上手い。フェルナンジーニョにパスが出たらプレッシングをかけるぜ!と考えていると、そばにデ・ブライネが現れる。そうすると、どちらを観るべきかを瞬時に判断しなければいけない。相手にとって解決しなければいけない状況をつくることが戦術的な行動といえるだろう。

ベンゲルの采配

2点差がついたことで、動きやすくなったともいえるベンゲル監督。コクランを下げて、ラカゼットをピッチに送り込んだ。コクランが交代したことで、アーセナルは4バックシステムに変更となる。3トップで同数プレッシングをしていたマンチェスター・シティだったが、相手の変化にあっさりと対応する。4-4-2にはインサイドハーフを前に出してシステムをかみ合わせるの法則を発動させていた。しかし、前半は空中戦の的として、アレクシス・サンチェスと奮闘していたイウォビが相手の隙間でボールを受けて攻撃を牽引すると、ラカゼットのゴールに繋がる。この場面ではイウォビを誰が観るのかがマンチェスター・シティははっきりしていなかった。デ・ブライネがインサイドエリアを観るのか、サネが中央に絞るのか、それともデルフが迎撃するのか。マンチェスター・シティの弱点はこんなところにもある。

いけいけ、ぼくらのアーセナルという流れだが、3バックをやめたことで、前線のプレッシングの枚数はどうしても減ってしまう。それでも前半と同じように死なばもろともな雰囲気が出てくる。このときにべらぼうに上手いのがエデルソンだ。ショートパス&ロングパスで空いた選手を使うことが非常に上手い。前線のプレッシングに連動すべきだというが、2枚のセンターバックで相手の陣地に侵入していくことは勇気があるというよりは、蛮勇になってしまう。スターリングとサネという快速コンビもいるわけで。

よって、アーセナルのシステム変更に攻守に対応していくマンチェスター・シティ。そして、ぶっちゃけオフサイド気味だったが、シルバからジェズスで追加点を決める。ほとんどとどめ。その後にウィルシャーとシルーが出てくるが後の祭りであった。最後はマンチェスター・シティのパス周りにオーレの合唱で試合が終わる。ベンゲルの采配を振り返ると、4バックシステムによる奇襲はなかなか良かった。ただ、相手が対応してきたときにどうするの?があるようでなかったのが痛い。また、撤退守備に移行したときにどのようにマンチェスター・シティの攻撃の起点を抑えるか、抑えたときにできた隙をどのように隠すかがなかったことが痛かった。

ひとりごと

スコアは3-1でやっぱり力の差はあった。でも、正面衝突のアーセナルの姿勢は好感が持てた。3バックで配置的な優位性を利用する前半の攻撃も決して悪くなかった。マンチェスター・シティの2点目と3点目は審判に泣かされたことも事実であるし。ただ、撤退守備で守りきれそうになかった仕組みと、もうちょっとリターンを期待しただろう相手陣地でのプレッシングが修正されれば、しっかりと上位にいられるのではないかと感じさせられた。さて、現実はどうなっているのだろうか。

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