サンフレッチェ広島対町田ゼルビアの雑感

J2025

はじめに

自分が解説する試合は浦和レッズ対町田ゼルビアである。ならば、町田ゼルビアの現状も把握しないといけない。というわけで、サンフレッチェ広島対町田ゼルビアの試合を見る流れとなる。マッチレポの文化がなんとなく衰退していきそうなので、なにかできないかな?と考えている。昔はフットボリスタも週刊だったのに!

サンフレッチェ広島に対する印象は、ずっと変わらない。選手の起用でピッチの景色が変わることはあれど、それは意図的なものというよりも、そうなるしかない、というか。アレクシス・サンチェスやペドロを使えば裏抜けが増え、イニエスタたちを使えばボール保持が安定する。という名言に近い。ただ、キャスティングで起きる変化を好意的に捉えるならば次の試合も継続しそうなもの。スキッベ監督はそんな雰囲気はない。常に短パン半袖みたいな。そういう強さを求めていそうで。

町田ゼルビアのボール保持のチャレンジは好意的に捉えていた。自分がボールを保持するサッカーを好んでいるから、そうだ!やれやれ!!みたいな期待も込みで。3バックと4バックを使い分けたり、相馬とウイングバックポジションチェンジとか、仕上げの3バックの攻撃参加とか、セントラルハーフの6人目とか要素は良かったと思うのだけど、いかんせん結果がついてこなかった。

アビスパ福岡に旅立ってしまったコーチがいないので、町田ゼルビアのボール保持へのチャレンジは失敗する!という大方の予想どおりなことは切ない。なんとなく配置的優位性を頼りっきりになるところが日本のチーム設計あるあるである。このあたりはリカルド・ロドリゲスと似ているようで似ていないので、柏レイソルと比較すると面白いかも。

序盤の乱打戦

PSGのキックオフが日本の中体連、高体連を彷彿とさせたことは記憶に新しい。でも、PSGが行うと新戦術!!みたいな扱いになるので、現場の人たちは苦笑いをしたに違いない。

ちなみに、自分たちが勢いを持って試合に入るためにはボール保持よりもプレッシングのほうが変数が少ないらしい。それなら、ロングボールに走ってもおなじやんと思うけれど、カウンターされたらめんどいやんと反論されて話し合いは終了した。

サンフレッチェ広島のキックオフは、中野就斗への放り込みからだった。古くはアーセナルのサニャ、ちょっと古いと酒井宏樹、現代だと望ヘンと、サイドに空中戦の強い選手を配置することは、スタンダードになりつつある。

どちらかというと、お互いにロングボール大作戦を志向していることもあって、序盤戦は蹴りあいの様相となった。サンフレッチェ広島のほうは繋ぎたそうな空気を醸し出していたが、序盤はリスクヘッジなのだろう。

町田ゼルビアの必殺技である昌子からの望ヘンへのサイドチェンジは、昌子が中央で起用されるようになって威力が半減している。ゾーンディフェンスだろうが、マンマークだろうが、普通はボールサイドでない逆サイドは捨てるのが一般的だ。なので、サイドチェンジによる前進や仕掛けは効果的となる。

中央の昌子からの望ヘンへのロングボールと、左CBの昌子からのサイドチェンジでは意味合いが異なる。だったら、中山からの計画だったのだろうけど、サンフレッチェ広島のマンマークの前に沈黙。時間の経過とともに、ほっておかれる谷で一呼吸をする町田ゼルビアであった。

気がつけばゼロトップのサンフレッチェ広島

木下が負傷の雰囲気。しかし、ピッチに戻る木下。そして、そんな木下の場所へロングボールが飛んでくるの流れは笑った。怪我しているんじゃないのかいと。つまり、ロングボールもどこかを狙う余裕があるときと、ないときがあるという話。どこにロングボールを蹴るか?で大迫も少し苦労していた。

15分すぎからサンフレッチェ広島は地上戦をメインとしていく。【523】で人を基準点とするシンプルなサッカーになった町田ゼルビア。しかし、今日のサンフレッチェ広島はシャドウに川辺と洋太朗が起用されている。二人ともにセントラルハーフで起用されてもおかしくないタイプの選手だ。

町田ゼルビアのセントラルハーフがサンフレッチェ広島のセントラルハーフに気を取られたら、川辺、洋太朗が降りてくる形に町田ゼルビアは苦労していた。木下が負傷し、ジェルマンが登場すると、この流れは加速することになる。

サンフレッチェ広島のセンターバックの面々もビルドアップの出口を見つければボールを通すことはできる。さらに、相手が捕まえに来たとしても前向きの選手を使う意識も高いサンフレッチェ広島。たぶん、練習で仕込んで来たのだろう。

さらに、町田ゼルビアは撤退しても【523】気味になることが多い。なので、果敢に攻撃参加する佐々木をスルーしたがっている相馬の構図も面白かった。この構図も、サンフレッチェ広島の計算通りなのだろう。

田中聡の攻撃参加を6人目として、塩谷がどっしりと構える役割分担もはまったサンフレッチェ広島。ボール保持による攻撃が課題とされていたが、このメンバーでは可能性を感じさせるものであった。わかりやすい質的優位は見当たらないのだけど、周りを見られる選手ばかりなので、コンビネーションが炸裂しそうな雰囲気が満載だった。

ハイボールがだめなら

前回の対戦で、町田ゼルビアのハイボール大作戦を荒木たちが跳ね返しまくったことで、敗戦した町田ゼルビア。同じ技は通用しないぜ!ということで、今日は裏へのボールも目立った。空中戦は望ヘン、ときどき藤尾の根性、裏へのボールをとにかく藤尾たちが走って相手を困らせる作戦。

ボール保持のかけらもないやんけ!と眺めているが、サンフレッチェ広島も困っているようだった。ザ・ハードワークをこなす町田ゼルビアは非常にらしいのかもしれないし、これが「いつか帰るところ」だとすると、ボール保持なんて夢のまた夢なんだろうと。

その象徴的な場面が31分くらいの藤尾の決定機。望ヘンの競り合いに西村が絡み、相手のミスを誘発して訪れた決定機。相手のミス待ちとも言えるし、ミスを誘発したとも言えるし。町田ゼルビアらしい決定機を決められるかどうかが、この試合の分水嶺となりそうな。一方で、相馬と増山のポジションチェンジによる仕掛けを何度も繰り返す、なんて作りができそうな気配はなかった。

でも、お互いの決定機の数はゴールキーパーの出番を考えると、五分五分という評価になるところが、町田ゼルビアのいやらしいところで。五分五分勝負で我慢すれば、セットプレーや質的優位で勝負できるという計算は間違っていないでしょうし。

後半のトランジションの連続とジェルマンの繋ごうとする意識を逆用され、町田ゼルビアはボールを奪っての速攻で、相馬が得点して先制に成功。この展開で先制点を決めるのだからさすが。サンフレッチェ広島からすれば、悪くないのに先に失点をしてしまうボール保持あるあるのような展開へ。

でも、ボール保持あるあるである、ボールを動かし続ければ、実は相手が疲れてくるの法則。柏レイソルのおはこ。え?走行距離はボール保持チームのほうが凄いのに?!となりそうだけど、時間の経過とともに守るだけになれば、失点の可能性は増えるでしょうに。

町田ゼルビアはときどきのカウンターでゴールに迫るものの、残念そこは大迫。交代で登場した選手たちも時間を稼いだり守備で貢献したりはスタメン組と大きくは変わらず。となると、押し込み続けるサンフレッチェ広島には、どんどんと増えていくゴール前でのプレー機会。

そして困ったときのセットプレーが炸裂。菅のキック精度が素晴らしかったし、アルスラーンのブロックも良かった。ロスタイムには昌子が佐々木を倒してPK。お互いに引っ張り合っていたが、主審の判断が尊重されたのかどうかはわからない。審判周りは本当によくわからないぜ。

これをアルスラーンが決めて、広島が逆転。谷のファインセーブ機会は数回であまり記憶になく、ゴールを守るは本当に根性を見せた町田ゼルビア。でも、もう少し押し込まれないとか、ボールを保持して休憩するとかそっちのほうがと思うけれど、そっちは捨てた道だったので、ないものねだり。

ひとりごと

ゴールを決められないならば、ボール保持の安定を目指し、シャドウにセントラルハーフの選手を起用するのは理にかなっている。アルスラーンと洋太朗のコンビになれば、また別のサッカーになりそう。でも、その場合は集めてきたシャドウコレクションがどうなるとなりそうだけど、ジャメもいればなんとかなる、のではなく、セントラルハーフが足りそうで足りなそう。

町田ゼルビアはこの敗戦の理由を失点の直接的な原因に求めそう。ってか、その解決策以外は少し大変そうな雰囲気。せめて【541】で守ればいいのに、ってのはどこかのチームでも同じ感想を抱いたような。ボール保持をあんまりしないなら、【442】でも良いような気はする。でも、ハイプレとミドルプレが意外と根性に依存しすぎるから、人依存にしたのかもしれないけどさ。もしかして、そっちが先だったり。

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