「アナリシス・アイ」緊急重版、決定!!記念に本の中身をチラ見せ(・∀・)

書評

というわけで、本を書きました。売れ行きは好調のようです。思っていたよりも書店に置かれていたようで、小学館のパワーは「らいかーると」というわけのわからない名前よりも強いんだな!とよくわかりました。でも、まだ自分は書店で見つけていません(・∀・)

さて、売れ行きは好調のようですが、これは「みなさんのおかげです」。本の中身を見ずに予約してくれた方や、本を買って写真付きでつぶやいてくれたり、しっかりと感想を書いてくれたりと、皆様には感謝カンゲキ雨嵐ってやつですね。

というわけで、本の中身を少しだけネットに載せたいと思います。自分のなかで肝となる部分なので、ちょっと目を通してもらえれば幸いです。

第2章 4:局面の繰り返しと内容の評価 

 15分が過ぎると、大抵の試合は一定の局面の繰り返しになっていきます。ボールが全く落ちつかない!という試合はまれで、ボールを保持するチームとボールを保持しないチームが交互に替わるか、一方的に片方のチームがボールを保持するような展開が、一般的な試合の傾向です。 試合分析の肝となる作業の一つが、「で、この内容はどうなの? 良いの? 悪いの?」という判断をすることです。ボールを保持しているから良い/ボールを保持していないから悪い、ということではなく、「チームの狙いが実行できているか」を判断しなければいけません。内容が良いとはすなわち、「同じ状況を繰り返していても、試合には勝てる可能性が相手よりも高い」状態のことを示しています。 
 サッカーは得点を競うスポーツです、となると、内容の良し悪しを判断する基準も、ゴールが決まっているか否かで判断すべきでしょう。しかし、サッカーはなかなかゴールが決まらない、偶然ゴールが決まることもあるスポーツなので、ゴールそのものではなく、「決定機」に注目するとより正確に状況がつかめます。
 決定機とは、「ゴールが決まりそうだった場面」のことです。あと30センチシュートが内側に飛んでいたら決まっていた、クロスがあと一瞬早く上がっていればシュートを打てていた、などの、ハイライトに出てきそうなシーンをイメージしてください。決定機を狙いをもって作れていれば、内容が良いといっていいでしょう。 
 また、決定機になりそうだったね、という決定機の一歩手前の場面を拾っていくことも大事です。決定機や決定機の一歩手前を「再現性」をもって構築するために、チームは練習します。よって、我々は決定機がどんな流れで生まれているか、そしてそれはチームの狙いによって作られたかどうかをしっかりと観察しなければなりません。ボールを保持していて、さらに決定機を作れていれば内容は良いといっていいですし、ボールを保持していなくても、相手に決定機を作らせずに自分たちがカウンターで相手のゴールに迫れていれば、内容は良いといっても問題はありません。 
 我々は試合中に繰り返される局面を観察し、どちらのチームの内容が良いかを判断すべきです。そして、その判断根拠は決定機の数と決定機に至るまでの再現性となります。再現性を発見するコツは、「相手の配置に対して、どのようなルートで前進しているか」と、「相手のプレッシングのルールに対して、どのように局地戦を攻略しているか」をヒントとするといいでしょう。このあたりは次章で詳しく見ていきます。 第2章 5:移動による変化を見逃さない 
 前項で、内容の良し悪しは決定機で判断すべし! と述べました。それでは、両チームに決定機が生まれないような試合は、果たしてどのように評価したらいいでしょうか。負けたくないチーム同士の試合であれば、シュート数がゼロ、なんてことも決して珍しくはありません。例えば、決勝戦があまり面白くない試合になってしまった! なんてことは世界中で起きています。決勝で負けたくない両チームがリスクを冒さないからです。 
 もちろん、リスクを冒さない姿勢がチームの狙いならば、お互いに決定機がなかったとしても、両チームのプラン通りに試合が進んでいるということになります。その場合は、内容が悪いというのは難しいですね。良いともいえませんが。ちなみにリスクを冒さない姿勢とは、ボールを追い越して前に行く選手が少ない、配置が整っている状態で相手にボールを奪われるようにロングボールを多発する、などなどです。
 しかし、何も起きない、または何も起こす気がない試合だとしても、試合時間は刻一刻と過ぎていきます。さすがに、試合終了までどちらのチームもまるで動かない! という試合は超レアケースです。そんな試合ではスタジアムからはブーイングの嵐、試合の流れとは関係ないウェーブ、しまいには途中で帰り始める人まで出てくるものです。 
 必ず、どちらかのチームが状況を変えるために行動を起こします。そして、試合分析で最も大事なことは、落ち着いた状態を打開する時や自分たちの内容を改善する時に、両チームが起こす変化に気がつくことです。そして、その変化が試合に与える影響を観察していかなければなりません。  同じ局面が繰り返される時、試合内容をより自分たち寄りにする手段の一つに、「移動」があります。「移動」とは、選手の配置を変更することです。全体のフォーメーションが変更になることもあれば、個人による移動が行われる場合もあります。ただし、個人による移動に対して周りの選手がバランスを取ることも多々あるので、両方ともにフォーメーションの変更と表現してもいいのかもしれません。ただし、個人の判断による移動の場合は、それがチームの利益に繋がっていないと良い評価はできません。ボールに触りたいからとボールに近寄る移動をしても、チーム全体の状況はむしろ悪化するでしょう。 
 相手のプレッシングのルールがマンマークだろうがゾーンだろうが、トイレまで相手についていくことはありません。現代のサッカーにおいて、CBが相手のCFについていき、気がついたら相手のゴール前にいたよ! ということはほとんど起きません。

 なぜなら、相手についてどこまで移動をしていいか? というルールがプレッシング側には存在するからです。もちろん、ポジションや相手の能力に応じて、その距離は微調整されているでしょう。この選手にはどうしても時間とスペースを与えるわけにはいかない! という場合は、ついていく距離が長く設定されます。かつてバルセロナで活躍したシャビ・エルナンデスは、何度もオールコートマンツーマンを食らっていました。 
 ボール保持側の「移動」の狙いは、相手がどこまでついてくるかを把握し、その距離を超える動きをし、時間とスペースを得ることです。非保持側のルール=それ以上はついていかない範囲、を超えて移動した選手は、フリーになることが多いです。なぜならボール非保持側は、マークしている相手が自分の持ち場を離れた時はマークを他の人に受け渡す作業をしますが、マークを受け渡される人もすでに他の人を守備の基準点として受け持っていることが多いので、いっぺんに2人の選手を見なければいけない状況が生まれるからです。 
 このように、すでに守備の基準点を持っている選手のもとに別の選手が現れることを、「複数の基準点を持たせる作戦」といいます。どっちのマークについたら良いかわからない状況は、相手にとっては問題です。マークを受け渡す作業をさせるだけでも、プレッシング側の思考時間を削る判断を強いるので、戦術的な作戦といえます。

 プレッシングのルール、「どこまでついていくか」を見極めることが相手側の視点に立った振る舞いだとするならば、「どこに移動したら味方をサポートできるか」という自分たち側の視点に立った移動もあります。ただし、ボール保持者にただ近づけば良い! なんてことはありません。もしも自分と一緒に相手がついてくれば、狭い空間で複数の相手と対峙してしまうことになるからです。
 その時に重要な考えが「列」と「レーン」の概念です。

以上です。こんな感じでつらつらと書いています。

ひとりごと

本を書いていて感じたことは、なぜ吾輩が本を書いているのだろうか?ということでした。サッカーの分析学をアカデミックに教わった人がこういった内容の本を書くものなのではないかな?とずっと思いながら書いていました。はてさて、日本でそんな学問を学べるのかどうかは定かではありませんが。というか、筑波の面々で書いてくれればいいのに。アンサーソング的なノリで。

今までのサッカー観戦本って、今回に自分が書いた独学の果にたどり着いたものや、海外のライセンス持ちの人が書いたものが多いです。独学の果は同じ種類として、日本のライセンスを持っている人ががちでこういう本を書いても面白いんだろうな?と思います。あ、少しはそういうものが存在することは知っていますが、改めて、みたいな感じで。

この本が皆様に新たなサッカーを見る視点を提供し、少しでもサッカーライブを豊かにするものになればいいな、と思い書きまくりました。そんな役に立てれば幸いです。そして、誰かがあとに続いてくれないかなと期待しています。自分程度の文章でいける(編集や校正の力!!)ので、誰でも書けるんじゃないかな?と無責任な放言で示したいと思います。

ではまた!

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