「さて、今日は最近気になっていることについて考えていきたい」
「はて、どんなことが最近は気になっているんだ?」
「それはな、さえないくんが呟いていたんだけど、新卒についてだ。新卒ですぐに活躍した選手と言えば誰が思い浮かぶ?」
「小野伸二と城彰二やな」
「そんな時代もあったな」
「言いたいことは、ここ数年で新卒の選手が即戦力になっている気がする!というものだろう?」
「そうだな。あくまで気がする程度なんだけどな。証拠などはそのうちにさえないくんがやってくれるだろう」
「気になっていることは新卒だけか?」
「あともう一個あるんだけど、パラダイム・シフトについてだな。パラダイム・シフトが起こっているんちゃうかなと思っているんだけど」
「パラダイム・シフトって言いたいだけのような気がするけど、つまりどういうことだ?」
「パラダイム・シフトと新卒の活躍が密接に繋がっている気がしてな」
「なるほど。では、本題に入っていこうか」
「最初にグアルディオラが全部悪い」
「グアルディオラが悪い」
「彼のせいでどのチームもサリーをするようになり、どのチームも自陣でボールを保持できるようになってしまった。ビルドアップのグローバル化とスタンダード化はグアルディオラによってもたらされたと言っていいだろう」
「それの何が悪いのか」
「現在のサッカーはトランジションが重要な様子だけど、それはある程度はボールを保持できることが前提になっている。真の意味でストーミングをしているのは昨年のザルツブルグくらいだ」
「確かにストーミング界隈やレッドブルグループを卒業した監督のサッカーを見ると、あほほどに繋ぐチーム多いもんな。シャルケとかボルシア・メンヒェングラートバッハとか。あれは反動かもしれんもんな」
「順序は逆かもしれんけど、バイエルンもリヴァプールも速さを武器にしている一方でボール保持も全然行けるだろう。つまり、今の時代はボール保持はできて当たり前、仕込めないのはどうかしているからだ!という世界観になっている」
「昔はスウォンジーくらいしかボールを保持していなかったのにな」
「それにしてもモウリーニョの弟子が現実的な志向よりも理想的な志向なのも反動なんだろうか。」
「話がそれたな」
「で、ボールを保持しないといけない。となると、自陣での仕込みも大事だが、前線の選手もそれなりにボールを保持するサッカーに適応する必要がある」
「なるほど。そろそろパラダイム・シフトの話になるわけだろ」
「そこで大切になってくるのがボール保持を当たり前としていた環境で育ってきた選手が必要になってくる」
「確かに根性サッカーをしていた選手にボールをつなげ!と言われても困るだろうしな」
「で、ボールを繋ぐといってもチーム全体で繋ぐチームと個人の能力で運ぶチームが日本にはあった」
「もうちょっと詳しくいこうか」
「日本には独特のサッカー文化が昔からあってな、かつての静岡学園が浦和南高校と決勝で殴り合ったときだったり、一部で話題になっている習志野高校とか、ボールを大事にする、一人ひとりがしっかりとボールを持てるようにする文化があった。」
「しかし、あれやろ、ボールを持つことに全フリしすぎたり、最終的にフィジカルエリートに潰されたり、ボールを持ちすぎるからチームで孤立したり、終いには技術はあるけどサッカーは下手とかディスられるんやろ」
「その要素は今でもあるんやけど、身体の小さい選手が何で勝負すんねん!と考えたときに、ボール保持に全フリは悪くない博打だと思うんだけどな」
「博打か」
「普通にサッカーしていても何者にもなれなそうなら、何者かになれるような道筋を選ぶのはありやろ」
「で、何がパラダイム・シフトなんや」
「そういうチームの選手って、ボール保持に全フリしたのになぜか後ろのポジションで使われることが多かったんだ」
「なんでや?」
「彼らの目指していたものが11人抜きだったのかは定かではないが、それは無理だろ?でも、鍛えたボールを持つ能力がボールを運ぶとボールを守るで発揮されたからだ」
「ここで運ぶドリブルと守るドリブルが出てくるわけか」
「で、グアルディオラに登場だ」
「なるほど。個人でボールを運ぶチームが個人とチームでボールを運ぶようになっていたのか」
「今でも個人でどうにかこうにしかしよう!というチームもあるけどな。」
「で、なんなんや」
「つまり、最近の新卒はボールを保持することがうまい。そういうサッカーを小さいころからやってきている。個人でボールを運ぶことに注力してきた選手が再評価されている。例え、フィジカルがちょっと劣っていても。なぜなら彼らはボールを失わないし、ボールを運べるし、ときには突破もできるから。さらに、最近の流行りでもあるプレー原則や配置的な優位性によって孤立しにくくなっているというおまけつきだ」
「それはパラダイム・シフトなのか」
「よくわからん」
「やはり言いたいだけだったか」
「キーパーのパスの精度が上がっているように、各々でしっかりボールを持てることが当たり前の時代になってきたということが言いたい。で、それがたまたま博打を打っているような選手たちにとって流行に乗ったような状況になっているのではないかと」
「流行がスタンダードになるかはもうちょっと見てみないとわからないな」
「で、こうなるとみんな博打を打とうぜ!みたいな話になりそうでいや難だけど」
「それな。ただ、イニエスタなんかは本当にそうだど思うんだけど、ボールをほとんどみないだろ」
「ボールを見ないで周りの状況を観察しながらプレーしているな」
「そういう環境で育ってきた選手は強い。そういう選手はプレー原則という地図がなくてもそれなりにプレーができる。あればもっと楽なんだろうけどな」
「つまり、もともと日本にあったボールを持ったときに何ができるの育成とグアルディオラによって世界中に広まったボールを保持する仕組みが融合してきている、ということだな」
「その割合はチームによって様々だけどな」
「で、そういう育成を受けてきた選手が増えてきたので、プロでさあどうする?というのが今の状況だな」
「奇しくも下の世代の変化にトップがついていけるかどうか?という状況でもあるわけか」
「自分が慣れ親しんできたサッカーがプロでも同じなら速さに慣れるだけだからな。新卒でもそれなりにできるやろ」
「そう考えると、小野伸二と城彰二は、やはり化け物だったというわけか」
「ただJ下部はどうなるんだ?」
「J下部はフィジカルエリートや天才たちの競争でいいやろ」
「それはそれでどうなん?という時代が来るのはもうちょい先か」
「いや、なんていたって結果だ!という評価基準をするチームが多いんだから、その流れは変わらないだろう。これから先も。ただ、戦略的にJ下部を断る選手は増えていくかもしれない。」
「それも変な話やな」
「それだけたくさんのルートがある、ということは良いことだと思うけどな」
「でもや、J下部でスタメンで試合に出続けて、プロにも昇格したのに、あまりJ下部に絡んでこなかった選手に大逆転を許したら何か切なくないか?」
「それは切ないな。でも、そんな具体例はあってもそんなにないやろ」
「ま、そういうことも含めてどうなってくいくか見てみようじゃないか」
「チーム選びは戦略的に!!!」
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