マンチェスター・シティ対ハダースフィールド ハダースフィールドの4バック迎撃とマンチェスター・シティの1バック~~

いけいけ!僕らのマンチェスター・シティ!!グループリーグ突破がほぼ確定していたチャンピオンズリーグを華麗にスルーしてリーグ戦を追いかけるぜ。なお、僕らのマンチェスター・シティは公式戦17連勝らしい。えぐい、ほんまえぐい。ただし、ストーンズが負傷。でも、ぼくらのコンパニがちょうど戻ってきている。何という巡り合わせ。今日の相手はハダースフィールド。昇格してきたチームだけど、今のところは健闘しているらしい。選手名鑑を眺めると、いろいろな選手がいる。インス息子、オーストラリア代表の司令塔ことムーイなのか、モーイなのかわからない選手、センターバックとキーパーにはデンマーク代表を揃えている。監督はワグナー。ルーツはドイツ。指導者としてドルトムントのセカンドチームにいて、クロップとも良い意味で仲がいいらしい。ネクストクロップを狙ってのプレミア・リーグの挑戦といったところか。

ハダースフィールドの守備の論理

試合開始の笛とともに、ハダースフィールドのシステムを確認する。初見では4-1-4-1のように見えた。前節のレスターが4-1-4-1でフルボッコにされたこともあって、レスターの4-1-4-1との差異を確認する作業に移行していく。さすがに、前節のフルボッコを受けて、その守備の論理と同じ方法論を採用する監督はこのレベルには存在しない。その方法論を採用するとなるならば、うちの子たちならできる!という質の優位性を根拠とするものなのだろう。クロップの友達ことワグナーは、しっかりとレスターの守備との差異を見せてくれた。

ハダースフィールドの守備のシステムは、4-5-1。ときには6-3-1にもなる。それぞれの守備のルールについて見ていく。

1トップのデプワトルは相手のセンターバックとのバトルを厭わないタイプのセンターフォワードだ。ロングボールやカウンターの起点となりながら、守備では3センターの前にどっしりと構えている。マンチェスター・シティのセンターバックは華麗にスルー。スルーされたことで、おれを舐めるんじゃない!と怒ったオタメンディが嫌に攻撃で目立つ前半戦となったのは、ハダースフィールドの守備の論理になる。日本のジュニア年代でよく見られるハーフタイムにポストシュートのような場面をオタメンディが試合中に行うくらいにフリーであった。ただ、シュートは枠に飛ばなかったけれど。何を捨てて何を優先して守るかがはっきりしている事例である。ただ、フェルナンジーニョがセンター軸からずれたポジショニングをすることに苦戦している様子はあった。

2列目は3センター。2インサイドハーフ+アンカーではなく、横並びになっているのが肝だ。横並びのメリットは、3人の守備の負担が等しくなりがちということだろう。アンカーシステムではないので、ホッグがボール保持者に寄せていく場面も見られる。前列への移動がアンカーシステムよりは困難になるが、デプワトルがいるので問題ない。このラインまで相手が寄せてくればボール保持者に寄せる!という約束事もしっかりとしていた。基本はデ・ブライネ、シルバを見る役割になっているので、彼らを捨ててボール保持者に寄せるときに隙が生まれがちとなる。

その隙を埋めるための仕組みがサイドハーフのサイドバック化による6バックだ。3バックで迎撃という言葉がある。ライン間や誰がマークをするのか?を惑わせるようなポジショニングに対して、マンマークで対抗しよう。でも、センターバックが持ち場を離れることは危険だ。だったら、5バックにすれば、人数が余るから持ち場を離れても大丈夫だよね作戦が、通称・3バックで迎撃としている、勝手に。ハダースフィールドの場合は、サイドハーフがサイドの守備をサポートしてくれる環境もあって、3バックでペナ幅ではなく、4バックでペナ幅となっていることがキーとなっている。ある意味で迎撃し放題の形となっている。よって、マンチェスター・シティは得意の曖昧なポジショニングで相手に優位性を示せる場面がほとんどない前半戦となる。

マンチェスター・シティが決定機、枠内シュートにたどり着いたのが前半の終了間際のみであった。ポゼッションチームのご褒美である相手の足が止まってきたでござる現象が起きてからが本番節。マンチェスター・シティが利用したかったのはアグエロが降りてできるスペース。しかし、アグエロの周りにスターリングなどを配置すると、6バック化するハダースフィールド。だったらインサイドハーフが突撃だと裏への飛び出しを見せてもくらいついてくるハダースフィールド。守備の良いチームは後ろ向きの動作をサボらない。ワンツーで突破されても必死についていく。そしてカウンターではインス息子が抜群の存在感を見せる。そして、コーナーキックの連続からハダースフィールドがまさかの先制点を決めて、前半が終わった。

グアルディオラの選手配置

スターリングの大外裏抜け(ボールサイドでないインサイドレーンを起点とするバルサの必殺技)で後半は迫っていくマンチェスター・シティ。その連続からPKを奪い、アグエロが超冷静に決めて同点となった。それにしても、マンチェスター・シティはインサイドレーンの深い位置に誰かを突撃させることが大好きである。後半早々に追いつくと、マンチェスター・シティの配置が目の前に現れてくる。

グアルディオラの配置の正体は、まさかの1バックであった。前半から中心軸からずれていたフェルナンジーニョのアイディアを活かすような初期配置と言っていいだろう。フェルナンジーニョとオタメンディが相手の1トップ脇に配置されている。サネがサイドにはる関係でデルフはカウンターに備える意味もあってノーマルなポジショニングをしていた。右サイドはウォーカーを前に出すことで、相手のサイドハーフをピン留め。空けたエリアにインサイドハーフが登場する形となっている。相手の配置でどうしても相手に与えてしまうエリアにチームで最もいい選手を配置することはえぐい。なお、このデ・ブライネの位置でシルバがプレーする機会も多かった。

フェルナンジーニョとオタメンディをスルーするわけにもいかないハダースフィールド。よって、3センターがボールを奪いに来れば、相手にずれが生じやすくなる。さらに、フェルナンジーニョも果敢に相手のライン感に入っていくことで、相手の守備の基準点をさらに複雑にしよう作戦。しかし、それでもハダースフィールドは砕けない。6バックは誰が始めた技だったかは覚えていないが、ペナ幅を4バックで守られると、なかなか決定機には辿り着けないマンチェスター・シティであった。残り時間は10分。そして、グアルディオラは更に動く。

 

後方の選手配置は適当である。大事なことはジェズスを入れて2トップにしたことだ。これで、センターバックの迎撃はできなくなる。4-2-2-2の亜種でハダースフィールドの中央の選手の守備の基準点が狂っていることがよくわかる。狂わせないための撤退守備でスペースの明け渡しとは言えるのだけど、ボール保持者へのプレッシングを行うか否かの判断はけっこう難しい。さらにジェズスも広範囲に動き回るので、さらに自分が何を守るのかの判断は複雑になる。マンチェスター・シティのゴールはサイドからの侵入でジェズスが潰れ、こぼれ球がスターリングにあたって入るというなんじゃそりゃ感の強いゴールであった。だが、ジェズスを入れたことによるメリットと考えるほうが妥当だろう。残り時間はハダースフィールドの突撃を何とか防ぎ、マンチェスター・シティがさらに連勝することとなった。

ひとりごと

後ろ向きと書くとネガティブに思われてしまうかもしれないが、ハダースフィールドは後ろ向きの守備が抜群に良かった。自分のエリアをボールが通過してしまってもとにかく下がる。とても大事なこと。ただ、スターリングとサネの後ろ向きな守備もかなり改善されてきていて、それも驚きであった。

そして、後半のコンパニの1バックは面白かった。理屈で言えば、グアルディオラ時代もときどきはやっていたかもしれない。相手が守備に全振りの場合はありだろう。4-2-2-2よりもサイド攻撃を捨てないを可能とするが、さすがに流行らないだろう。でも、グアルディオラはやるかもしれない。

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