プレミアリーグ 第14.15.16節リヴァプールを中心に雑感

マッチレポ1920

さて、リヴァプールを追いかける雑感はまだまだ続きます。ストーミングとリヴァプールの強さの秘訣を探ることを目的とした追走劇です。なお、先週はハードワークでしたが、今週は先々週と同じように日刊雑感誌として頑張っていける!のではないかと企んではいます。

-- さて、今回はブライトン、エヴァートン、ボーンマス戦を中心に振り返っていくのだけど、この試合を題材に改めて「4局面のコントロール」について考えていきたい。最初に「4局面」について改めて説明してください。

サッカーにおける4局面とは、ボールを保持しているとき、ボールを保持していないとき、ボールを奪ったとき、ボールを奪われたときとされています。この状況に「相手の守備が整理されているか、否か」を前提条件としてつけることが最近の4局面の考え方に近いのかなと考えています。

ボールを保持しているときに、相手の守備が整理されていなければ速攻、相手の守備が整っているときはボール保持に切り替えるとか、前提条件はどのようなプレーをすべきかの指針に大きな影響を与えているのではないでしょうか。

-- では、次に「サッカーの4局面のコントロール」についてどのようなことがピッチで起きているのか?とつらつらと書いてください。

どのクラブにも長所短所があるように、自分たちの長所を相手の短所にぶつけたがります。例えば、相手がボールを保持する局面を得意としている場合は、相手にボールを持たせないようにしたり、相手がボールを奪ったときに速攻を得意としているならば、そもそもボールを奪われないように振る舞ったり、ボールを奪われるなら、相手陣地だ!とロングボールを蹴ったりすることもあります。

ただし、ある程度のコントロールは可能としても、サッカーには時間とスコアという変化するものがあります。これらの変化によって、自分たちが苦手としている局面で相手の得意としている局面に突撃しなければならないことも往々にしてありますので、すべての局面でそれなりに振る舞えることが現代サッカーのトップ・オブ・ザ・ワールドでは必要とされています。

-- リヴァプールの「4局面のコントロール」に行く前に、マンチェスター・シティ界隈の「4局面のコントロール」について詳しく

マンチェスター・シティ、というより、グアルディオラのチームはボールを保持することによって、試合を支配することを好みます。ボールを保持していれば、相手は攻めてこれませんし、こちらのボール循環、配置によって、相手は動かされる状況になってしまいますからね。よって、動かされた配置は整理されている状況と呼べませんから、ボールを奪ってもカウンターにいけません。そして、整理されている状態でボールを保持しているグアルディオラのチームはすぐにボールを奪い返し、チャンスだったらカウンター、そうでなかったらボール保持をリピートします。

つまり、ボールを保持しているときを延々と繰り返し、ボールを失ったときを一瞬でボールを奪い返すときに変換する作業を行いたい!みたいな。これによって、ずっと自分たちのターンで試合を進めようとします。つまり、4局面あるはずが、3局面しか試合に現れてこないのが、チームグアルディオラの狙い、、今はどうかわかりませんが、、でした。

マンチェスター・シティに関して言えば、相手にボールを保持されると、途端に脆さをみせるチームでした。近年のビルドアップのセットプレー化によって、プレッシングの枚数を調整しても、前から奪いに行くことは後方の選手の強さを担保しないと難しいことは、自分たちがそれをやっていることからも確実に理解しています。サッリのナポリとのボールを保持したほうが流れを掴む対決は、なかなかおもしろい試合でした。普通は逆だったりしますからね。

試合を3局面にすることで、ある意味で、ひとつを捨てる、というのは言いすぎですが、他の局面に特化した能力を持つことは可能です。ただ、相手がボールを保持しているときをなくしてしまうことにデメリットはあります。次にそのデメリットについて考えていきます。

-- では、リヴァプールの「4局面のコントロール」について考えていきましょう。つまり、この記事の本番ですね。

最初にリヴァプールのプレッシングから考えていきたいと思います。メッシやクリスチャーノ・ロナウドという特別な選手はクラブからも特別扱いを受けます。特にバルセロナが苦しんでいるようですが、彼らは献身的なプレッシングを気まぐれに行います。なので、計算された10人によるプレッシングをチームの戦術に組み込むことはできません。気まぐれと計算ほど相性の悪いものはありませんから。

で、リヴァプールのプレッシングは4-3-3で行われます。ウイングが相手のサイドバックのパスコースを切って、中央のボール奪取能力に優れたインサイドハーフが回収するという流れはもう聞き飽きているかもしれませんが。

しかし、ブライトン戦を振り返ると、もちろん、ボールを奪える、もしくは相手のボール保持の精度を落とすことはできている場面もあるんですが、基本的にボールを持たれ、相手に前進を許す場面のほうが多かったです。

なので、もう一度考え直してみました。リヴァプールのプレッシングってなんなの??って。

結論からいうと、4局面の相手がボールを保持しているときを誘導しているように感じました。相手のクオリティが低ければ、リヴァプールのプレッシングの速さにおののきます。しかし、ブライトンが回避できたんですよ、言い方は悪いですが、根性を出せば、効率よくボールを前進させることはできます。では、なぜそれを許してるのか?というと、それは得意もカウンターのためなのではないか?と考えると、いろいろな辻褄があってきました。

リヴァプールが苦手とする局面はボールを持たされ、相手が撤退している場面だとされています。近年はそれをぶちやぶるための細かい策の精度も上がってきた一方で、相手が攻めてくれれば、それはそれでこの局面のかみ合わせからの脱出も同時に意味しています。

なので、リヴァプールのプレッシングは恐らく何段階にも設計されています。お題目のように言われていたインサイドハーフが奪い切るも含めて。

必要以上の労力を使わないプレッシングで相手のボール保持を牽制する。相手がボールを中央からの前進、サイドからの前進を試みたとして、基本的にインサイドハーフがスライドで対応する。ここでボールを奪えればラッキーくらいに考えていると思います。ここで奪おうとしていない。

むしろもっとボールを運んでもらって、相手を自陣に引き込みます。罠だとわかっていても、相手をおびき寄せるためには相手にゴールを奪えそうだな!と感じて貰う必要があります。それがリヴァプールの4-3-3の配置の最大の特徴かもしれません。撤退守備を4-4で行うとしても、片方のウイングだけ降りてくるという形はどうしても不安定さに繋がり、相手に時間を与えがちです。

なので、リヴァプールは相手が勇敢にボールを保持してきたり、攻撃を枚数をかけてきたりすると、それなりに危なっかしい場面をどうしても作られてしまいます。罠故に。しかし、それを防ぐのがボール奪取に秀でた3センターだったり、相手に突破されると話題になるファン・ダイクだったりするわけです。このあたりの仕組みは、最後は個の能力でどげんかしてきたセルヒオ・ラモスとヴァランのコンビに似ているかもしれません。

まとめると、リヴァプールは4局面のすべてを謳歌しています。自分たちのプレッシングをかわせるならどうぞ。プレッシングの完成度を高める気はありません。だって、相手が攻め込んでくれたら、自分たちの大好きなトランジション機会が増え、さらに広いエリアで行うことができるから。その代わりに失点は増えるかもしれないけど、守備陣を信用してます、みたいな。

-- 長くなってきたので、そろそろまとめてください。

トランジションを増やすためのロングボールがストーミングの代名詞になっていますが、リヴァプールのロングボールは、単純な裏狙い(しかも成功する)や、サイドチェンジが多く、トランジション機会を増やすため、というようにはあまり感じません。もちろん、ボールを失ったらがっつりとプレッシングをかけるのでしょうけど。

それよりも、相手がトランジションを少なくするようにしてくるなかで、相手に攻め込んでもらう隙きを作ることで、肉を切らせて骨を断つになっているのか、それがたまたまなのかは見守っていきたいと思います。ボール保持の振る舞いについてはまた今度。

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