【マドリードダービー】チャンピオンズ・リーグ決勝プレビュー【シメオネか、ジダンか、それが問題だ】

マッチレポ1516×チャンピオンズ・リーグ

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アトレチコ・マドリーのスタメンは、不動です。特にサプライズも考えられません。奇襲という意味で、頭から4-1-4-1で試合に臨んでくる可能性はあります。しかし、1列目がワントップになると、相手のセンターバックに時間とスペースを与える構造になってしまいます。アトレチコ・マドリーの守備の長所は、プレッシングを開始するラインを自分たちで設定できることです。しかし、ワントップでは相手陣地から守備をするときに、相手のセンターバックに時間とスペースを与えてしまう構造になってしまいます。よって、相手陣地からの積極的な守備が効果的でなくなってしまいます。プレッシング開始ラインを柔軟に設定するためには、1列目に2枚の物量が必要だとシメオネは恐らく考えているので、4-4-2で試合に入る可能性が非常に高いです。

レアル・マドリーのスタメンも不動です。ヴォルフスブルク戦のセカンドレグでスタメンを変更しなかった(ダニーロ→マルセロのみ)ことから、ジダン監督はスタメンを固定する傾向にあります。選手の個性の差、相手との戦術的相性よりも、結果を出している選手を信頼するジダン監督のマネージメント方法は、現役時代の選手経験から導き出されたものなのかもしれません。相手を考えれば、イスコ、ハメス・ロドリゲスの起用が最適なような気がしますが、不動のスタメンになる可能性が高いです。

最初の30分間の勝負どころ

アトレチコ・マドリーは、プレッシング開始ラインの設定を柔軟に行います。前半の20分くらいまでは、出来る限り高い位置からのプレッシングを行なう可能性が高いです。高い位置からの守備はリスクが有りますが、相手にアトレチコ・マドリーの守備の形に対応させるという意味でも、同じような展開(ゴール前にずっと撤退する)を続けるような状況は避けてくると考えられます。

レアル・マドリーの勝負どころは、アトレチコ・マドリーがプレッシングを積極果敢に行なう時間帯です。アトレチコ・マドリーの守備の特徴として、サイドバックとセンターバックの間のエリアは、セントラルハーフが埋めるという約束事があります。しかし、相手陣地に深追いするプレッシングを仕掛けるときは、このエリアをセンターバックがスライドして対応するノーマルな形となる約束事になっています。よって、サイドバックの裏のエリアにボールを運ぶことができれば、かなり高い確率でアトレチコ・マドリーのセンターバックを動かすことができます。

ただし、レアル・マドリーは前線の物量が実は少ないという問題を抱えています。インサイドハーフもビルドアップに関わる傾向があるので、前線で相手と駆け引きできそうな選手は3枚(クリロナ、ベイル、ベンゼマ)となります。よって、サイドバックの裏を攻略する動き方は、ウイングの選手のフェイクの動きと、ベンゼマがサイドに流れてくる形がメインとなります。荒手としては、ベイルのサイドにクリロナが突撃してくる形もありますが、レアル・マドリーではあまり見かけることがない策となります。ベイルもクリロナもスピードは尋常でないので、個の動きで裏を取れる可能性はあります。

ただし、アトレチコ・マドリーの穴をつくための策がどうしても少ないという問題を抱えます。よって、イスコを起用しないかなと淡い希望を抱いています。インサイドハーフで起用されたときのイスコは、自分がビルドアップに必要ないと判断すると、前線に駆け上がっていきます。つまり、サイドバックの裏への策として、イスコの2列目からの飛び出しという新たな手が加わります。ウイングの個の能力、ベンゼマのサイドに流れる、イスコの飛び出しと3つの手があれば、アトレチコ・マドリーも苦戦する可能性が高いです。すべてはイスコ次第。もちろん、インサイドハーフ飛び出しのような定跡をレアル・マドリーが出されば、イスコを起用する必要はなくなるのですが。

4-2-2-2のアトレチコ・マドリー

奪ってからのカウンターがメインのアトレチコ・マドリー。特徴としては同サイドでの攻撃、段差を使ったトランジション回避が挙げられます。アトレチコ・マドリーはサイドチェンジをほとんど行いません。サイドバックは果敢に攻撃参加しましが、ボールサイドでないサイドバックが高い位置にポジショニングすることはまれです。また、サイドチェンジをしないので、ボールサイドでないサイドハーフは、ボールサイドまで流れてくるか、センターにポジショニングします。

アトレチコ・マドリーの攻撃は、ボールサイドに密集します。数的優位を作る&相手の守備の基準点を狂わせることで、時間とスペースを得ます。そのわずかな時間とスペースを利用して、フィニッシュにいたることが狙いです。特にライン間にポジショニングする選手が多いことが特徴でしょう。また、各々の選手にボールを運ぶスキルの高さは、尋常でないです。チャンピオンズ・リーグのセミファイナルでサウールが個人技を爆発させたように、カラスコ、サウール、グリーズマン、コケと厄介な選手がそろっています。

守備をする時間の長いアトレチコ・マドリーは、ボールを奪う機会も多いです。ボールを奪ったら、すぐに速攻に移りたいアトレチコ・マドリー。しかし、相手もすぐにボールを奪い返しにきます。そのプレッシングを段差を使ったポジショニングで回避することをアトレチコ・マドリーは得意としています。単純に前向きの選手を使うという当たり前のことなのですが。ボールを奪われたらすぐに奪い返すというセオリーに対して、どのように回避するかは各チームが必死に取り組んでいます。過去を思い出せば、ウィルシャーがドリブルスキルでプレスを無効化していたことが、このセオリー返しのスタートといえるかもしれません。アトレチコ・マドリーがボールを奪われたときは、数的優位状態を活かしたプレッシングを行なう仕組みになっています。

引いたアトレチコ・マドリーをどのように崩すか

グアルディオラ曰く、守備戦術が発達した現代で優位性を作るには一対一で勝てる選手が必要になってくる。ベイル、クリロナはデュエルで勝てそうですが、ファンフラン、フェリペ・ルイスのデュエルは、かなり強いです。特にファンフランはデュエルに異常な強さを見せます。バイエルンが高さ勝負を狙ったように、ファーサイドでクロスを待つクリロナにクロス爆撃作戦でファンフランを狙う策は、はまるかもしれません。

クリロナとベイルが質的優位を示せないときに、レアル・マドリーで仕事をしそうなのがモドリッチです。独力で周りの選手に時間とスペースを与えることができます。相手を押し込んだ状態で何ともいえないのがカゼミーロです。カゼミーロを前に送り出して、ビルドアップのときはクロースとモドリッチを下ろす形もありえますが、それだったら、イスコを使えとイスコキャンペーンになります。

クロースとモドリッチに比べると、イスコはドリブルで相手をひきつけることが上手です。相手に向かっていくことで、相手のポジショニングを串刺しにすることができます。狭いエリアでの活動も苦にしない、攻撃の時間が長いことを考えると、カゼミーロよりもイスコを起用したほうが良さそうなのですが、選手を信頼するジダンは使わないだろうなと予想しています。

両チームの采配とかいろいろ

攻撃的に振る舞うときのレアル・マドリーは、イスコ、ハメス・ロドリゲス、ルーカス・バスケス。そして、サイドバックがずっと横幅を確保することになるでしょう。守備固めをするときは、サイドに守備を頑張る選手を投入することが特徴です。

アトレチコ・マドリーは、4-1-4-1にかえたけど、攻撃的に変化するので、非常に読みにくいです。センターから上がってくる選手がガビ、アウグストに比べると、そこにコケが加わるほうが思い切った攻撃ができるのかもしれません。守備固めをするときは、4-1-4-1。または、4-4-2-0にしてきます。

注目すべき選手とか

・アトレチコ・マドリーは、サイドバックとセンターバックの間のエリアをどのポジションの選手が埋めるか。4-1-4-1と4-4-2、それぞれのプレッシング開始ラインによって、サイドバックとセンターバックの間のエリアを埋める役割に変化はあるかどうか。

・レアル・マドリーの2.3列目のライン間をグリーズマンたちが使えるかどうか。

・レアル・マドリーはセンターバックが攻撃に貢献できるかどうか。特にサイドチェンジは大事。

・序盤はサイドバック(マルセロとカルバハル)が鍵をにぎる。アトレチコ・マドリーのサイドバックの裏を攻略する場合の起点は、サイドバックになる。

・ベンゼマは相手のセンターバックを相手にボールを守ることができるか。意外に中央にパスラインはできる。

・両チームにとって、困ったときのセットプレーがどのような結果をもたらすか。たぶん、勝敗を分けるのはセットプレー。

・イスコに出番はあるのか(・∀・)

ひとりごと

4-2-3-1で試合に入ったらジダンに惚れます。でも、そんな博打は打たないでしょう。だから、惚れない。途中就任でチャンピオンズ・リーグの決勝までたどり着くのだから、ジダン監督は持っている。なお、チェルシーにも過去にそんなことがあったと覚えているけど。

シメオネ。前回のファイナルのように交代枠を無駄にすることはないでしょう。ジエゴ・コスタの奇襲は今でもよくわからない。延長になると、長い距離を走れそうなレアル・マドリーに分がありそうなので、90分で決着をつけたい。

どちらが勝つと思いますか?という質問への解答ですが、ヒフティーヒフティーってやつです。どっちも同じくらい勝ちそう。そういう意味では、楽しい決勝戦になりそうですね。

コメント

  1. マンウン より:

    はじめまして。
    CL後にこの記事を見まして、予想と合ってる事が多かったので驚きました

    質問なのですが、このように戦術を分析したりするにはどう知識をつけていけばいいのでしょうか?
    私はサッカーの経験がなく、経験者の友達は戦術にはあまり詳しくないらしく聞いてもわかりません。

    やはりらいかーると様のようなブログや本を読み漁ったりするのが良いのでしょうか?

    • らいかーると より:

      はじめまして。

      いやいや、予想とあっているなんて恐れ多いですよまじで。
      知識のつけかたですが、試合をみて何が起きたかをすべて書くという作業をすれば、身につくと思います。

      趣味にしては、労力が半端ないですけど。

  2. ととや より:

    レアルの優勝おめでとうございます。
    しかし、アトレティコはこれで3年連続でレアルに退けられましたね。
    特に今季は単に守備だけのチームでないことを示すシーズンになるはずでしたが、
    その総決算となるべき試合で結果的にはレアルの引き立て役・・
    LFPに日程面で冷遇されてることや、守備的な戦術が中傷されることもあるだけに
    国際舞台での報われなさは社会の縮図を見せられてるようでもありました(レスターはあくまでレアケース)。

    ペップがバイエルンでは一度もCLファイナルへの進出が叶わなかったのもそうですが、
    チームを生かすも殺すも監督次第とはいえ、最終的な差を生み出すのはやはり選手、ということになるのでしょう。
    来季の情勢は戦術以上に補強の成否に注視したいと思います。

    • らいかーると より:

      チャンピオンズ・リーグに優勝したから、レアル・マドリーがチームとして優れていたかというと、ぶっちゃけ疑問です。
      PKに持ち込まれている以上、最終的に差があったかも何ともいえません。

      いや、もちろん良いチームだったと思いますし、ベニテスからの反動にもなったジダンからの信頼が選手にチームに力を与えたことも事実でしょう。
      たぶん、来季が正念場のレアル・マドリーです。

      ただし、アトレチコ・マドリーのボールを保持した面については改善の余地ありですね

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