「さて」
「久々の会話形式だな」
「見た試合については何かを残したほうがいいよ!と偉い人に助言をいただいたので」
「頭で考えたことは外に出さないともったいない精神なんだぜ」
「というわけで、今日のお題はノース・ロンドン・ダービー」
「ノース・ロンドン・ダービーといえば、アーセナルのコーチにこんな質問をしたことがある」
「やっぱあれっすか、小さいことからスパーズには負けるな!みたいなことは植え付けていくんですか???」
「アーセナルのコーチはどう答えたんだ?」
「放送禁止用語を交えて説明してくれたよ。相手を圧倒する心構えをが必要だと言っていたかな」
「J下部も若い頃からダービーをどれだけ意識させるか?は気になるところだが」
「と前置きはそんなところにして、本題に入っていきたい」
伝家の宝刀・撤退【442】
「ライスが出場停止、ウーデゴールが怪我で欠場となったアーセナル」
「アーセナルは基本的にハイライン、ハイプレス、強度高めのサッカーのイメージがあるのだけど」
「危険な先入観ってやつだな」
「ときどき撤退【442】をやることで有名であった」
「プレミアリーグの優勝を争うマンチェスター・シティを相手にすると撤退だ!!と普段と異なる表情を見せるアーセナルの現実主義は最高だな」
「この試合に勝つために我々はあらゆる手段を排除しない!!!みたいな」
「撤退【442】の一般的な弱点は、そこから相手のゴールまでどう迫るのか?みたいな問いになるのだけど」
「アーセナルは、撤退からのカウンターも、ボール保持で回復もできるから非常にずるいとなった」
「ちなみにこの撤退守備をレアル・マドリーが完コピして、CLでマンチェスター・シティを倒したことは昨年の大きな命題のひとつとなっている」
「今季のマンチェスター・シティは撤退【442】を崩せるか?みたいな」
「マンチェスター・シティもときどき撤退するけれど、ミドルくらいだもんな」
「かつてのバルセロナはボール保持をしなければいけない、そのためには敗戦を受け入れよう!みたいな哲学だった」
「そんなバルセロナを彷彿とさせるチームが、ポステコグルーが率いるスパーズ。常に元気。常にプレッシングにいき、常にボールを保持し、アグレッシブな姿勢を貫いていく」
「そういう意味ではアーセナルは相手のやることが予想をたてやすいので、やりやすかったかもしれんな」
4バックと5バックは併用されたのか
「前半に限っていえば、アーセナルはボールを放棄し、プレッシングも早々に撤退し、ゴール前に守備を固める状況を選んだ」
「スパーズはボールを保持して、アーセナルの守備ブロックをどのように攻略しようか観察しているようだった」
「序盤戦で目立ったのはマディソン。相手のブロックの手前に降りてきて長短のパスで試合を動かしにかかるところはクロースのようだった」
「それは褒め過ぎかもしれんけどな。でも言わんとしていることはわかる。誰をフリーにするかは重要という古来から伝わる話だな」
「ロングボールを蹴られない、時間とスペースを配れない選手がフリーでもしょうがないからな」
「スパーズで興味深い動きはサイドバック。ポステコグルーといえばサイドバックの内側の移動というわけで、セントラルハーフやインサイドハーフのように振る舞っていた」
「器用なサイドバックが増えたもんなんだぜ」
「【433】のトライアングルグルとは趣が違うけれど、サイドバック、ウイング、インサイドハーフの三角形の構築、再構築の繰り返しは狙っていたように感じる」
「で、問題はアーセナル。ボールサイドのウイングは大外レーンにいる相手とマッチアップすることが多かった」
「アーセナルの5バックか」
「といっても、必ずしも5バックになっていたわけではない。基本は【442】、ウイングが下がったほうがいいと判断したときは5バックになっていた」
「ジョルジーニョとトーマスにすべてを託すことは流石にきついと考えたのだろう。スパーズの立ち位置もときどきはカオスになっていたからな」
「ハーフスペースをどのように守るか?の答えが、ときにはセントラルハーフだし、サイドバックだしと同じ形を様々な選手で実行するアーセナルであった」
「その姿はスパーズのビルドアップの布陣みたいだな」
「だからそれらは特別なことではなく、現代サッカーのスタンダードになりつつあるというか」
「ちなみに表現としては4バックでも5バックでもいいけれど、条件付きの5バックだったくらいのほうが適切かと」
「後半のアーセナルは5バックにならないようにしていたし、5バックになろうとしたスターリングが怒られていたことから、なるべく4で守ろうぜが基本路線だった可能性は高い」
「ハーフタイム後の修正は要チェックというわけで」
後半のアーセナルの地味な変更点
「一見すると、ボールを持たない、プレッシングにも行かないアーセナルに対して、ボールを持つ、プレッシングも頑張るスパーズと、まるでコンセプトの戦いのような展開になったのだけど」
「ゴールキックからのプレー再開については、プレッシングを仕掛け続けるアーセナルであった。プレッシングにも緩急があり、このあたりの計画でスパーズに簡単には運ばせないアーセナルの姿勢は興味深いものがあった」
「奪い切れるときもあれば、ロングボールを蹴られるときもあれば、運ばれることもあるのだけど、それぞれに対応できてしまうのだから、アーセナルのボール非保持の対応力の多彩さが光る」
「アーセナルのプレッシングで気になった点は序盤のサカのセンバへのジャンプだろうか。全く機能しなかったので、後半はほぼ封印されていた」
「奇襲の一手のひとつだったのかもしれんな」
「スパーズのプレッシングに向き合ったり、ゴールキックを蹴っ飛ばしたりするアーセナルの姿勢は後半になると、ボール保持によるコントロールを行うようになる」
「スパーズの人を基準にしながらもソランケの根性をベースにするプレッシングに対して、ビルドアップの出口となる選手を交換しながらも、ハヴァーツに放り込むを中心に進めていったが」
「後半はボールを保持して相手を振り回してから裏に蹴るを忠実に行っていた」
「ゴールキックだけプレッシングに行く、後半は急にボールを保持するなどなど、試合のリズムやテンポを急に変えることは奇襲の常套手段になっている」
「スパーズが妙にティンバーサイドを狙い撃ちにしていたことも後半は気になったけどな」
「アーセナルのトラップの雰囲気はなかったけどな」
「ジョルジーニョ、トロサールサイドから攻めたほうがボールを失ってもサカサイドには簡単にはボールがいかないだろうという計算なのかは不明だな」
「スパーズからすれば困ったときのセットプレーやミドルが炸裂すれば計算通りだったかもしれない」
「でも、ボール保持で少し試合の流れを掴むこともできたアーセナルの困ったときのセットプレーが炸裂」
「キーパーの周りに人がたくさんいて、キーパーの行動範囲を制限する策が機能した瞬間であった」
「あとは守るだけ!で登場したスターリングが相手のチャンスを誘発した場面は面白かったけどな」
ひとりごと
まるでモウリーニョのような試合だったが、モウリーニョができることを改めて示した試合と言うべきだろう。スパーズの良い意味での無邪気さに少しだけ付き合いながらも最後にはらしい姿でクリーンシートなのでお見事であった。
コメント