リバプール対チェルシーの雑感 ~グアルディオラの弟子が増えすぎ問題について~

2024/25欧州サッカー

スタメンはこちら。両チームともに今季になって初めて見る気がする事実に、書いている本人もびっくりしている。

アルネ・スロットのフェイエノールトお気に入りマンとしては、リヴァプールでも[442]系統を採用していてにっこり。リヴァプールといえば[433]も今は昔なのかどうか。

チェルシーの監督はマレスカ。マレスカへの記憶はユヴェントス時代なのだけど、マレスカがユヴェントスにいた期間が短いのでニッチな記憶になっているようだ。レスターを昇格させ、チェルシーに個人昇格、チームも昇格しているけど。そして、グアルディオラの弟子らしい。最近はグアルディオラの影響ではなく、直系の弟子が増えている気がする。

というわけで、試合に話を移していくと、チェルシーがボールを保持する展開をリヴァプールも受け入れているような序盤戦となった。

チェルシーの325対リヴァプールの424

チェルシーのネタは左サイドバックのグストがインサイドハーフに変化する形で[325]を実現していた。さすが、グアルディオラの弟子。ジンチェンコをリスペクトしている。カンセロでもいいけど。グストは右サイドバックだったような記憶があったので、不思議な感覚で眺めていた。ちなみに、ビルドアップではサンチェスがセンターバックとして振る舞うこともあり、ますますシティやん!という気持ちにさせる。たぶん、そういったシティが広めた作戦が世界中でスタンダードになっていくのでしょう。

リヴァプールの対抗

アルネ・スロットといえば[442]系統なので、違和感はない。違和感はないけれど、チェルシーの[325]をどのように噛み合わせるのかなと観察をすると、当たり前だが準備は万端であった。

ソボスライとジョタの中央コンビは、背中でカイセドとラビアを消すことを優先。相手の3バックがボールを持っても気にする素振りはなかった。両脇のセンターバックがボールを持ったときに、相手のウイングにボールが入らない形でサラーたちがレッツゴー。外切りプレッシングは中央への誘導がセットであり、そこで待ち構えるジョーンズたちであった。

試合は淡々と流れていくなかで、グストのほうがパーマーよりもボールを引き出すのがうまいってどういうことやねん!とか、サンチョがアーノルドに勝てないんかい!とか、マドゥエケのほうが相手のラインを押し下げるドリブルの仕掛け方ができるんかい!と知らないことを知る時間となった。

チェルシーのチャンスは、リヴァプールのプレッシングの隙を利用してカイセドとラビアがある意味で相手のライン間でボールを受けてからのチャンスメイクがメインだった。カイセドとラビアが担っているんかい、せっかくの貯金を早々に使い切るのか!となりそうだが、このコンビの攻撃を完結させる能力は凄まじかったので収支は悪くない感じ。狭いエリアでもターンができるコンビは秀逸。

チェルシーのプレッシングと躍動するサラー

ゴールキックは手渡しで行うことが義務になりつつある世界。リヴァプールも丁寧に繋ごうとする意思を見せるけれど、チェルシー、まさかのマンマーク&ハイプレッシングを採用。ボール保持への飽くなき探究心を感じる瞬間である。なお、カウンターを狙うならある程度は相手をおびき出す必要があるので、ハイプレッシングを行わないことが定跡。ほら、蹴っ飛ばされたらカウンターはできないから。増えてきているマンマーク&ハイプレッシングへどのように向き合うかは、現代サッカーの命題。ハーランドがいればハーランドに蹴っ飛ばす作戦。リヴァプールにはハーランドはいないけど、サラーはいる。空中戦の覇者ではないが、ロングボールをマイボールにする技術がべらぼうに高いサラー。相手をがちっとブロックして飛ばせない様子はまるで桜木を相手にする河田兄の振る舞い。

ボール保持でサラーという光明を見出したリヴァプール。トランジションもお手の物であることは伝統芸。[325]の泣きどころであるサイドバックのスペースを狙い撃ち。ソボスライとジョタがウイングはウイングプレーヤーのサポートを得意としていること、ジョーンズが裏から飛び出してくることを両立させることで、カオスな状況になりがちなカウンターも攻撃の担い手を孤立させずに、といった設計がにくい。

というわけで、お互いの思惑が一致したような試合はどちらが先に決定機を決めるかの対決となり、リヴァプールがPKで先制する。しっかり守ってカウンターと速攻でチェルシーにボールを持たせてもいいの!を選べるリヴァプールの隙の無さは異常。常にハイテンションだったころが懐かしい。

トライアングルグル

トライアングルグルといえば、サイドバック、インサイドハーフ、サイドバックのトリオによって行われる[433]で頻出する作戦となっている。なお、日本の守田、田中碧の得意技であることが有名だ。内側レーンでライン間仕事、大外レーンでウイング仕草、彼らの後方で支援に徹する攻守において両面の意味を持つサポートで発生する三角形の頂点を入れ替えまくることをグルグルと表現している。

[325]の場合はトライアングルグルがこんなにできる。これは具体例なので、本当はもっとできる。よくあるパターンを図にしてみた。マンチェスター・シティはこのグルグルがうまい。空白のレーンの作り方と活かし方もうまい。ちなみに、トゥヘル時代のグルグルは、中央の三枚が上手だったと記憶している。特にマウント。

後半のチェルシーは内側レーンのパーマーたちが大外レーンに降りてきて空白のエリアを作り、その位置にカイセドやラビアが侵入するパターンを準備してきた。ほんの少しの役割を交換することで、スペースメイクとスペースアタックを実現している。

進化先を感じさせながらチェルシーは同点に追いつくけれど、この試合で機能しまくったジョーンズアタックでリヴァプールがあっさりと勝ち越しに成功する。[32]で守るときにサイドの守備を諦めさせるように中央の選手をピン留めする作戦はどこかで誰かがやっていた記憶がある。4バックに戻したいけど、戻させないために中央の選手に仕掛ける。オフ・ザ・ボールの動きでいいから。

その後はエンソが登場し、インサイドハーフ仕事をしたり、どこかで聞いたことあるレナト・ヴァイガがグストに変わって可変のキーマンになったり、懐かしのエンクンクが登場したりする。

しかし、相手を押し込むというか、リヴァプールのゴールに迫ることにおいて、チェルシーは昨年に話題になったフィニッシュ設計や崩しの段階でまだまだ粗を感じさせるところはあるわけで。ネトを入れて快速で破壊することを選んだ采配を見ていると、完全に自覚している印象。なので、今後はトライアングルグルを極めていくことになるのか、シティと袂を分かち裏道を歩くのかどうかはどちらでも良い。良い内容と結果が出れば何でも良いのだ。

ひとりごと

リヴァプールが妙に現実的で面白かった。その現実的な策が十分に勝機を見出させるものだったことも良い。こういうサッカーをどのように表現するかが課題なので難しい。ほら、シティとチェルシーは基本的にボール保持でなんとかするの比重が大きいのかなって。じゃあ、リヴァプールはというとなんて言えば良いのか。

チェルシーはいい選手が多い印象を受けた。ベストメンバーがよくわからないけれど、そのうちに定まっていきそうな予感。そのときはなんだか強くなりそう。カイセドがすごかった。

 

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