まさか二度目があるなんて!というわけで、サッカーもっと知り合いシートを完了させて参りました。
講習会と試合の解説がセットです。講習会は8/7に終わり、さあ試合だ!となったら、雷で中止。解説は延期日に持ち越しだぜ!となり、10/23(水曜)に解説を終えてきた次第であります。もう少し講習会を基盤とした解説をすべきだったな!という反省があります。
で、今回は反省会会場ではなく、浦和レッズ対柏レイソルのマッチレポを書こう!コーナーです。ハーフタイムに、画角にないところも解説してくれるので良いですね!とお世辞をいただいたこと、そして、当日に現場で集中してみたので、その感覚を文字起こしすることの価値を優先しました。本来なら映像を見返すところなんですけどね。
試合前のいろいろ
試合前に色々と話すことからスタートです。最初にスタメンを見ての印象を話すことになりました。そうか、本物の解説ってこういうこともするもんなと慣れない作業に突入していきます。
・浦和レッズがスモールラインナップ
・柏レイソルの身長が大きい
・浦和レッズはコーナーキックの対応が不安。でも、グスタフソンがいるからボールを保持しそう。
・柏レイソルのベンチにスーパーサブ持ちはいないので、後半はバテそう
・柏レイソルは手塚がいるので、ボールを保持する道を選ぶ可能性もある
・最初の注目点はプレッシング開始ライン。
みたいなことを話してから試合に突入したと記憶しています。
前半戦突入
序盤は柏レイソルのパワーに苦しい立ち上がりとなりました。絶対に負けられない戦いでもあったことから、この試合に勝ったら選手権に出られるんだ!みたいな慎重な立ち上がりとなります。お互いのキーパーも蹴っ飛ばす序盤戦となり、身長が高くパワーを押し出せそうな柏レイソルが少し優勢であったことは当然に流れでした。
そんなお互いの自己紹介を終えたところで、グスタフソンが評価した前半30分までが始まります。この試合の序盤の最初の表情と言えるでしょうね。浦和レッズがボールを保持し、柏レイソルが[442]でミドルブロックを形成する形で試合は進んでいきました。
繰り返されるグスタフソンのサリー
試合前にグスタフソンがサリーするんじゃないか!?と話した記憶があります。その根拠は前回の対戦で柏レイソルの圧縮[442]の前に、2トップの間にいてもボールを受けられないし効果的ではないと考えたグスタフソンがサリーを連発して試合を動かしたからです。浦和レッズが3バックへのプレッシングを得意としていないように、柏レイソルも3バックへのプレッシングを得意としていません。
基本的にはグスタフソンが降りる、ときどきは西川を利用する形での3バックへの変化をしながら柏レイソルのプレッシングを牽制することに成功した浦和レッズは、ボールを保持して時間を過ごす展開に持ち込むことに成功した記憶があります。記憶が正しければ、前半の柏レイソルのコーナーキックは1~2本くらいだったのではないでしょうか。ボール保持で試合をコントロールする術は少しヘグモ時代を少し思い出しました。
グスタフソンの先の選手の配置は、サイドバックが大外、ウイングが内側、渡邊凌磨がトップ下、リンセンが裏抜けを行う役割が基本でした。サイドバックとウイングはときどき自分たちの役割を入れ替えます。安居はアンカーとして振る舞う形が多く、浦和の配置は[3151]っぽくなっていきました。[442]対策としては至極真っ当な立ち位置です。後方でボールをドリブルで運び、味方に時間とスペースを配れるグスタフソンがいる意味はとてつもなく大きかったです。
センターバックも含めて、ビルドアップの起点となっていく浦和レッズのボール保持に対して、柏レイソルは後手を踏む展開となります。特に二列目の選手たちの負荷が強くかかりました。大久保、松尾の微妙に内側に立ち位置を取る策が柏レイソルのセントラルハーフの立ち位置に影響を与えています。セントラルハーフを引きなはすことができれば中央を使えます。つまり、渡邊凌磨にシンプルにボールが入る場面が増え、立ち位置で相手に影響を与え味方にパスラインを作るプレーを地味に行うファインプレーが繰り返されていました。
浦和レッズからすれば、問題はその先。ボールを保持して二列目たちにボールを届けることはできていたけど、攻撃の枚数をかける、裏に飛び出す試行回数はどうしても少なかった前半でした。ボール保持で試合をコントロールすることも目的としたのでしょう。個人的に前半はこんなもんでいいような気がしますが、常にゴールを目指すんだぜ派閥からすれば、物足りなさも残る展開だったのではないでしょうか。
柏レイソルのまいた伏線
柏レイソルはボール保持で時間を経過させることが得意な印象があります。序盤こそは浦和のハイプレッシングにロングボールを放り込む場面もありましたが、時間が落ち着いてくると、自分たちのターン!を繰り出すこともありました。キーパーを利用した3バック化、セントラルハーフをセンターバックの側でプレーさせることでの数的優位作戦と、落ち着いてからの浦和レッズからボールを奪わせないだけのものは見せていたと思います。
リンセンが前から奪いに行こうぜ!と合図をしても少し重たい浦和レッズの前に、ボールを保持する時間がだんだんと増えてくる柏レイソル。相手のゴールに迫れているかどうかは別にして、この試合はボールを保持したほうが両チームにとって良かった試合かもしれません。ボール保持でも非保持でもお互いに似たような配置、似たような短所を持ち合わせていたことは必然でなく偶然でしょう。
誤算があるとすれば、大久保、松尾の献身的な守備でしょうか。今日は決戦なんだぜ!をピッチで表現するには守備のほうが得策です。今日の浦和レッズは全体的に守備に参加する意識が高く、特に松尾の前へ後ろへの守備は柏レイソルを苦しめていました。それでもウイングの内側、サイドバックの大外の関係性からトライアングルを押し付ける柏レイソルの攻撃の前に守備の基準点を失いがちになりながら、根性で耐える浦和レッズという展開になっていきます。
展開がひっくり返りつつある原因は柏レイソルのプレッシングの改善でした。相手が3枚でビルドアップを開始するならば、こちらも加勢すればいいわけです。最初の加勢は小屋松で、次はサビオが行っていました。この試合は給水タイムこそありませんでしたが、怪我の治療タイムで修正をするんだ!とばかりに話し合いをする柏レイソルの面々が何度も目撃されています。ちなみに立田の指示によって、柏レイソルのセントラルハーフは根性で中央を閉めるようになります。これで渡邊凌磨の出番は減りました。
柏レイソルの加勢の前に、浦和レッズは少しおっかなびっくりのようなボール保持になっていきます。ビルドアップの出口となるのか、セカンドボール拾う隊になるのかを考える必要がある二列目からすれば、どっちやねん状態が続きます。なので、セカンドボールを柏レイソルに拾われる展開になり、少し嫌な雰囲気で前半を終えます。ちなみに渡邊凌磨と松尾の位置を入れ替えて数分を過ごしましたが、意図はやっぱり不明でした。
後半戦突入
ハーフタイムに探検です。隣はラジオブースでした。ラジオでサッカーの解説があるのか、聞いてみたいなと。解説の参考になるかもしれないけど、解説屋ではないわけで。ブースはたくさんあるんですが、播戸さんの後ろ姿も見えました。前回は槙野さんの後ろ姿を見ました。裏では明らかに関係者だけど、名前がぎりぎりわからない人がうろちょろしていて面白かったです。
後半が始まる前に、浦和レッズはどのようにギアをあげたらいいですか?と雑談をしていました。交代選手をいれるのが一番だし、ハイプレッシングを仕掛けたらギアは上がりそうですね!と話していたら、柏レイソルがギアをあげるんだから面白い廻り合せです。
柏レイソルのハイプレッシング
柏レイソルからすれば、前半は少し様子見だったのかもしれません。スカウティングが正しいのかどうか、実際に相対してどのように感じるか。結果として、浦和レッズを相手にボールを保持することはできるし、同数でプレッシングにいけばどうにかなるかもしれないと。
後半から柏レイソルはボール保持でリスクを冒すようになります。具体的に言うと、センターバックが高い位置までドリブルで侵入するようになっていきました。いわゆる、人数をかけるってやつです。東京ヴェルディ戦で綱島の位置からボールを運ばれたように、柏レイソルもボールを運んでいきます。
さらに浦和レッズにボールを持たせないように、ゴールキックでの再開に[442]のひし形で対抗します。欧州で見る形やん!と少し懐かしい気持ちになります。この形になると、小屋松よりも山田のほうが走れそうな気がします。また、前半にみせたように加勢の形も織り交ぜることで、浦和レッズはボール保持して試合をコントロールすることができなくなっていきました。
なので、コーナーキックもめっちゃ増えます。ときどきめっちゃ崩されます。やばいと感じたのでしょう。渡邊凌磨も守備ブロックに入って加勢します。柏レイソルからすれば、この時間帯に得点を取る段取りだったのでしょう。やるせない点があるとすればフィニッシュ設計になるのでしょうか。誰がどの位置からクロスをあげて、誰がどの位置に走り込むか。中央突破を狙うならどのようにコンビネーションを発動させるのかは一定ではありませんでした。定かではない強さもあるんですけどね。
選手交代で無秩序の誘い
浦和レッズからすれば、柏レイソルからボールを奪えないし、カウンターにも出られない。繋ごうとしても無理とやるせない展開になってしまっています。秩序が奪われているならば、無秩序へ誘い込めば良いというのはモウリーニョの得意技でした。
75分までにサンタナ、関根、原口、そして中島翔哉と殴り合い上等なメンツが登場します。この展開ではグスタフソンがいても無理!となるので、むべなるかなの采配です。そして、チアゴ・サンタナが前線でハイボールに孤軍奮闘するようになり、中島翔哉はボールが入ると無類のうまさで存在感を発揮していきます。
柏レイソルも選手を交代していきますが、当初の予定通りに盤面に影響を与えられるほどの選手はベンチに控えていません。柏のベルナルド・シウバはどうした。垣田はどこへ消えた。フロートは一瞬だけパワーをみせつけたくらいでした。なので、予想通りに柏レイソルの勢いは落ちていき、試合は無秩序な展開となっていきます。
このような展開だと、阿吽の呼吸やシンプルな選手の技術、そして一対一のバトルが命運を分けます。ディフェンスラインと原口と安居は柏レイソルのカウンターを止め続け、渡邊凌磨、中島翔哉は相変わらずの上手さで柏レイソルのゴールに迫っていくようになります。特に中島翔哉はフリーダムな立ち位置でボールを引き出し、そこから自力で前にボールを届ける能力に秀でていました。原口もスペースがあればドリブルで入っていくことができ、柏レイソルは防戦一方となります。
しかし、この試合で日本代表に選ばれたことを証明するかのようなパフォーマンスを見せた関根、味方との対話を続けた立田、そしてキャプテン古賀が根性を見せます。特に関根は終了間際に本来の位置とは異なる場所でもチームを救うプレーをしていました。
そして試合終了の直前で浦和レッズにPKが訪れます。安居のワンタッチの場面は後半のスクランブルアタックに触発されたかのようなプレーに見えました。安居、原口、関根と繋いだボールのこぼれ球をサンタナがシュートを打ち、立田の手にぶつかりPKとなりました。もちろん、場内の雰囲気は騒然。会場のモニターに手にあたった場面が表示されればそんな雰囲気になりますよね。
これをサンタナが決める。そしてすぐに試合終了。劇的な幕切れとなりましたとさ。
ひとりごと
浦和レッズからすれば、ビルドアップは改善傾向にあります。もちろん、グスタフソンありきですが、試合中にお互いの立ち位置について色々と話し合ってバランスを取り戻していった場面は改善傾向の証拠になるのではないでしょうか。ただし、この方法論が東京ヴェルディやセレッソ大阪に通用したかは別です。この試合で機能したことが次で機能する保証もなければ、逆にハイプレッシングが機能することだってあるのがJリーグです。ただし、割り切っただろう無秩序な時間は良かったです。バグをどのように使うかは勝点を拾うためには大切になっていくと思います。
柏レイソルからすれば、なんで最後にPKやねん!の一言に尽きるような気がします。この順位でも選手の献身性、あまり迷いを感じない姿勢には感服の毎日です。強いて言うならば、ロングボールもそれなりにできてしまうことから、後半にボール保持を手放した場面は少し残念でした。浦和がハイプレッシングに来たとしても、リスクを冒して向き合えば違った展開になったかもしれない。蛮勇か、勇気かの線引きは難しいものですが、正しさを積み重ねることで結果はついてくる世界だと思います。あとはフィニッシュ設計は頑張りましょう。両チームともだけど。そこまでの余裕はないか!!
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