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案件を抱えていて、自分のブログを全く更新できていなかったので、反省である。というわけで、この試合を選んだ理由はあまりないけれど、アルビレックス新潟対浦和レッズでブログを再開していきたい。なんにせよ、今季のテーマはJリーグの試合をたくさん見るなので、そのテーマからも間違っていない選択である。
ビルドアップは日本で一番うまいと勝手に表現していたアルビレックス新潟だけれど、気がつけば勝ちに見放され、不穏な空気が漂っている予感。怪我人の問題もあれど、自分の知っているスタメンとは異なるメンツが並んでいるので、指導陣も試行錯誤しているのだろう。
こちらも強いんだが弱いんだがわからない浦和レッズ。結果が安定しない要因はいくつかあれど、致命的にならない程度に結果を残していることから、内容と結果にある程度の妥協点を見いだせるまであと一歩なのかもしれない。浦和レッズのスタメンを眺めると、現有戦力のなかである程度の最適解のスタメンを見つけつつあるような印象を受ける。
■グスタフソンをいれたトライアングルグル
浦和のビルドアップに対して、新潟は【4231】で対抗。トップ下に長倉。経歴を見ると、数奇な運命をたどってきた長倉にはいつか浦和に戻ってきてほしい。1トップの小野がセンターバック同士のパス交換を遮断して攻撃方向の限定を狙うが、西川に戻してのリセットの繰り返しという静かな立ち上がりを見せる。
1トップ対2センターバック&西川の関係性なので、配置をいじらなくても運べそうだが、現実は作戦版とは異なる。新潟のサイドハーフはセンターバックへのプレッシングを伺っていること、グスタフソンはがっつり捕まっていることから、最初の浦和の策はグスタフソンがアンカーの位置から移動することであった。グスタフソンが左センバの位置に降りる→大久保がアンカーの位置に移動→中島がインサイドハーフの位置に移動→渡邊凌磨がウイング化しそうになるのコンボは今後もよく見るポジションチェンジになるだろう。
そんなズレで生み出されて発生した時間とスペースを無駄にしなかった渡邊凌磨のスルーパスをサンタナが冷静に決めて浦和があっさりと先制する。わずか3分であった。おそらく、松田はグスタフソンを捨てて良かったのだろう。結果論だけど。藤原が中島と渡邊凌磨の二人を守備の基準点として抱えることになってしまい、一瞬の隙をつかれる格好となってしまった。
■ボールを保持して守備をすること
早すぎる先制点だったが、スコアの変化は試合内容に影響を与えることとなった。先制した浦和は自陣からのプレッシングに移行し、ボールを持つ機会の少なかった新潟がボールを保持して試合のペースを決めることとなった。少なかったといっても開始5分くらいの出来事だけど。
浦和のプレッシングは【4141】。人への意識よりもスペースを管理する意識が強い傾向にある。動き回る新潟の選手を華麗にスルーする選手もいれば、二度追い、三度追いとする選手もいてばらばらであった。なので、追いかけまくったサンタナが連動しない周りに怒る場面が見られたが、チームの約束事から離れているのがどちらなのかは不明だ。
8:50の長倉のゴール正面からのミドルの場面の新潟の崩しが良かったというよりは、浦和の拙さの証明となるだろう。ビルドアップの出口となった長谷川に対して、小野でピン留めするギミックはお見事であった。前述した守備の基準点を複数抱えた藤原の石原バーションである。
新潟にボールをもたせたらめんどうなことになることが結果として明らかになったので、浦和はプレッシング開始ラインを高めてどつきあいに移行する。浦和のプレッシングは誰かの過負荷によって成り立っているが、スピードでごまかすことも立派な作戦なので別に悪くない。実際に試合のペースは一気に浦和に偏っていった。
後半まで持つだろうか?と心配になるような浦和のプレッシングだったが、相手からボールを回収できる場面は確実に増え、17:30にはボールを回収し、中島の決定機を迎えているのだから、そのコストに見合うリターンは手に入れている。ビルドアップからの最終的にロングボールを蹴ってプレッシング発動なんて場面は浦和のサッカーを見ていて個人的にあまり記憶になかったので驚いた。
浦和ペースの試合を取り戻すために、新潟はプレッシングにさらに勢いを見せるようになる。例えば、ジャンプしてそのまま西川までプレッシングをかけたりとか。この余波で徐々に自由になっていく選手がグスタフソン。ボール保持者に寄せていく相手選手の裏を取ることが本当にうまい。新潟がプレッシングを強めたことを逆に利用する形で浦和がさらに試合の流れを引き寄せていく。特に20分過ぎから大久保が負傷するまえのボール保持は相手からすると厄介でしょうがないだろう。
27分に画面に表示されたボール保持率は新潟が36%、浦和が64%であった。90分を通してでなく、時間帯によるボール保持率は重要なデータだと勝手に思っている。
■守備の基準点の再設定
ボールを奪えない新潟は、プレッシングの配置を松田を前に出して【442】のひし形のような空気を醸し出すようになる。松田の暴走か、あらかじめ準備された形は不明だ。ただし、走りに走る松田の面構えは違った。基本はマリウスのマークをして、渡邊凌磨にパスが出るなら俺が追いかけるぜ!という強い気持ちである。マリウスまでプレッシングに行きたがる松田と全然そうでない長谷川の立ち位置の違いは面白かった、30分すぎの出来事だった。
【4141】で中央を閉じている浦和に対して、新潟は左サイドへのサイドチェンジのようなロングボールで対抗。早川が大外、長谷川が内側、三人目にセントラルハーフが加勢する形で徐々に浦和ゴールに近づいていく場面が増えていく。残り10分になると、新潟のプレッシングをロングボールで回避する浦和だが、ロングボールが新潟ボールになる機会が増え、さらにリードしている状況と残り時間の少なさから、だんだんと浦和の守備意識が強くなる流れとなっていく。
しかし、残り時間が減っていくと、浦和もボールを握り返し、試合は五分五分の展開へ。というよりは、浦和によって中央を封鎖されていることから、ブロックの外まで降りてボールを引き出しに来るを繰り返しても、あまり意味はない新潟。サイドに誘導された攻撃はもはや最初のギミックが通用するなんてこともなく、ちょっぴり厳しい状況でハーフタイムを迎えることとなった。
■浦和のプレッシングを支える根性
負傷した大久保の位置に渡邊凌磨、左サイドバックに大畑が登場して後半を迎える浦和レッズ。交代なしの新潟だったが、50分に長谷川が負傷し、昌平の出世頭こと小見が登場する。小見がはスキルお出かけを持っているので丁半博打のような選手だ。その心は、プレーエリアの移動がチームにプラスになるか、マイナスになるかはやってみないとわからないからだ。ちなみに、今日の小見はおとなしかった。
浦和は二度追いは継続。根性の渡邊凌磨。新潟は後半も松田がマリウスまで飛び出してくる形を継続していた。つまり、松田の暴走ではなく、チームとして準備された形として判明した。さすがにハーフタイムを挟んでまで暴走が継続することはない、、はず。
64分、自陣の浦和からのビルドアップに対して、枚数をかけて奪いにいく新潟だが、西川のロングボールで華麗に回避されると、あとは順番に剥がされていき、最後はグスタフソンに決められて2-0となる。渡邊凌磨がいい場所に来るまでボールを守った中島と、グスタフソンがフリーになるまで相手に向かってドリブルを続けた渡邊凌磨が巧みな場面だった。
このままではあかん!と新潟は小野→太田、松田→谷口と二枚替え。浦和は中島→よしおと伊藤→安居が登場する。攻勢を強めたい新潟だが、よしおの粘りからマイボールにすると、カウンターが発動。最後は前田が冷静に決めて一気に3-0になってしまう。万事休すの新潟であった。残り時間は20分。
■サイドに三人の選手を集める理由
浦和の守備の論理は、アンカーの位置にいる選手をサンタナが背中で消したりマークをしたりする。相手のセンターバックは基本的に放置しながら横パスをプレッシングのスタートとする。基本的にウイングの選手が相手のセンターバックに外切りでプレッシング。もしも、外にボールを逃されたら自分で追いかけ続け、キーパーへまでプレッシングに行くかは状況によるといったところか。個人の頑張りがベースになっているので、この試合のように後半に選手を入れ替えることで強度の維持を図る交代策は今後も見られそうな予感。
73分に新潟が反撃の狼煙。グスタフソンからボールを奪ってからの速攻だったので、ほとんどの選手が帰陣に間に合わず。さらに相手のクロスを渡邊凌磨が謎な対応をしてしまったことで、ボールがゴール前の相手に届けられる形になってしまった。ただし、あのクロスボールへの対応はまじで難しいので、つけを払う形となってしまった。
86分にはこの試合で何度も繰り返されたサイドに三人目、もしくは四人目の登場に対して、プレッシングがあまくなり、フリーでクロスを入れられてしまう形から長倉にゴールを決められてしまう。88分の小見のシュートまでの流れも似たような形。再現性のある形で殴られていることは非常によくない。浦和の守備は相手のセンターバックへのプレッシングでウイングを出したり、インサイドハーフを出したりする関係から、運ばれたときの守備が間に合わないこともある。不安定さがもたらすデメリットだろうか。
というわけで、最後に浦和は【532】を披露。そんなネタを隠し持っていたのか、ぶっつけ本番かは謎である。たぶん、後者だろう。なんにせよ、インサイドレーンをどのポジションの選手が守るかがはっきりしたことは大きかった。インサイドハーフもウイングバックも相手への対応に集中できるようになったことで、多少はましとなる浦和。クロスをあげられても本来のセンターバックたちはゴール前での守備に集中できることは大きかった。
そして最後にはこちらも浦和ユース出身の遠藤がパンヤを蹴っ飛ばしてしまいPKを与えてしまう。そしてサンタナが決めて試合は終了した。
■ひとりごと
中央を閉められたことで、サイドからのクロス爆撃とクロスをあげる選手をどのようにフリーにするかが明確だった新潟も決して悪くなかった。松田が試行錯誤していたように、相手からボールを奪い切ることのコストが大きかったことが、どこかで誰かの過負荷に繋がり、それが失点につながっているのかなと勝手に予想してみたり。
浦和は根性で追う場面と引いて守る場面、【442】っぽく守る場面と実は守備の役割が多種多彩に設定されている、というよりは、多種多彩になってしまっているので、少し大変そうな場面もちらほら。もう少し空中戦で優位を保てるエリアがあれば西川からのボールの精度も上がりそうだけれど、それはないものねだり。
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